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【広報ふじ昭和51年】ぜんそく児童は5年前の1.5〜4倍

 富士市の気管支ぜんそくの実態を調べるため、千葉大学医学部に調査を依頼してありましたが、このほど調査結果がまとまりました。調査は1、学童の中にぜんそく患者がどれくらいいるか。2、5年前にぜんそくだった学童がその後どうなっているかを調べたものです。
 この結果、5年前より発病率は約1.5〜4倍、また当時のぜんそく児童の64パーセント近くが快方に向っていることが明らかにされました。それでは、調査結果のあらましをお知らせいたします。

今泉小の有症率は4.80パーセント

 富士市における気管支ぜんそくの実態調査は、昭和42年から45年にかけ、千葉大医学部公衆衛生学教室、小児科学教室が、吉田亮同学部教授の指導で行いました。その後どのような変化が現われているか,また、当時ぜんそくと診断された児童の経過を知るため、昨年11月から12月にかけ、保護者に質問記入と面接する方法で、有症率調査と予後調査を行いました。
 気管支ぜんそく有症率調査は、昨年11月1日現在、今泉小、元吉原小、鷹岡小、大淵第一小学校に在籍した児童5,685人を対象に行いました。
 その結果、5,591人から回答があり、この中からぜんそく又はその疑いのある児童510人が第2次調査を受けました。このうち218人が気管支ぜんそくとわかり、有症率は3.90パーセントにも及んでいます。
 学校別では、今泉小の有症率が最も高く、1,688人中81人で4.80パーセントと4校の平均を大幅に上回っています。次いで元吉原小が977人中39人で、3.99パーセント、鷹岡小が2,015人中70人で、3.47パーセント、大淵第一小が911人中28人で3.07パーセントとなっています。
 なお、5年前の調査では、今泉小1.67パーセント、元吉原小2.54パーセント、鷹岡小0.72パーセント、大淵第一小0.78パーセントでしたから、ほぼ1.5〜4倍に増加したことになります。

ぜんそく児の居住歴と発症地

 218人のぜんそく児のうち、同じ場所に5年以上住んでいる人が177で81.2パーセントです。
 学校別では、今泉小86.4パーセント、元吉原小94.9パーセント鷹岡小87.1パーセントですが、大淵第一小は32.1パーセントと低くなっています。また、居住歴3年以上の人についてみても、今泉小91.4パーセント、元吉原小97.5パーセント、鷹岡小92.8パーセントであったのに比べ,大淵第一小は39.2パーセントと低率です。言い換えれば、大淵地区に公害をのがれ、ぜんそく児のいる家族が転地したものと思われます。
 発症他についてみると、市内での発症者は、今泉小90.1パーセント、元吉原小94.9パーセント、鷹岡小90パーセント、大淵第一小82.1パーセント、合計89.9パーセントを占め、大部分の児童が市内でぜんそくになっています。
 なお、居住歴5年未満のぜんそく児は、今泉小10人、元吉原小2人、鷹岡小9人、大渕第一小17人です。以上の児童の前住地、発症地をみると、今泉小の場合10人のうち県外から6人、県内から4人転入し、県外からの3人は富士市に転入後ぜんそくになりました。元吉原小の場合は、転地療養後再び戻ってきたもので、発症地は富士市です。鷹岡小の場合は県外から2人、県内から3人転入し、市内の移転が3人、不明1人で、いずれも前住地でぜんそくになっています。大淵第一小の場合は、市内の移転が13人、県外から1人、県内から3人転入し県内の1人をのぞいていずれも前住地でぜんそくになっています。

追跡調査で63.5パーセントがほぼ快方に

 5年前気管支ぜんそくと診断された児童が、その後どのような状態にあるかの追跡調査は1,161人を対象に行ったところ、123人から回答がありました。
 このうち、50人、63.5パーセントが最近発作がなく、快方に向っています。また、28人、22.8パーセントがゼーゼーする程度に治っています。残りの45人、36.6パーセントは現在でも呼吸困難あるいは発作を起こしています。
 なお、呼吸困難・発作の回数、強さを45人について聞いたところ、回数では減ったのが24人、増えたのが6人、変らないのが15人です。強さでは、軽くなったのが22人重くなったのが5人、変らないのが18人です。
 また、公害病認定の有無については、富士市から転出した6人を除外し、117人についてまとめました。このうち快方に向っている人で認定を受けているのが50人中3人です。しかし、症状が依然として続いているのに認定を受けていない人が67人中38人もあります。特に、呼吸困難発作がある人の中でも認定を受けていない人が15人もいます。
 ぜんそくは治りにくいものですが小児ぜんそくの患者の3分の1が治る見込み、3分の1が大人のぜんそくに移行していく、残りの3分の1が治療によっては治るが、どちらともいえないとされています。富士市の場合も追跡調査から見てこのデーターにあてはまっています。

ぜんそく児 予想以上に増加

 今回調査を指導した吉田亮教授はある程度ぜんそく患者が増えることは予測できたが、思ったより増えていた。全国的(非汚染地域も含め)に増加しているが、赤ちゃんの時人工栄養で育てたり、タンパク質性食事が多くなったなど生活様式の変化も見のがせない。富士市の場合、中小企業が多いせいか、硫黄酸化物濃度の減り方がおそすぎること。チッ素酸化物の対策が遅れていることなどを取り上げ、両方の環境基準を達成しなければ、ぜんそく患者は減らない−と指摘しています。

- 図表あり -
( 図表説明 ) 学校別調査対象数
( 図表説明 ) 気管支ぜんそく児の予後(単位人、カッコ内パーセント)
- 写真あり -
( 写真説明 ) 調査結果を発表する千葉大吉田教授
( 写真説明 ) 中央病院で治療を受けるぜんそく児
添付ファイル
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