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【広報ふじ昭和50年】昭和50年度市政方針2

市政方針の4つの課題にもとづいて昭和50年度の主な事業を紹介します いのちと健康を守る課題

 富士市は、紙パルプ工業を基盤とする産業の伸展によって急激に進行したため、他都市に比較して市民生活上多くの社会問題が生じ、これまで積極的に対応してまいりました。これからも、市民の健康を守る保健・医療の充実と公害対策ならびに市民の安全を守るために交通事故防止、火災・災害防除のための施策を進めてまいります。


災害防止対策…4億2,541万円

 大気汚染防止対策の富士方式ともいうべき「503計画」は、129工場と協定を結んで以来、企業の努力により排煙脱硫装置・ガス化・灯油化などが計画どおり進んでいます。この503計画も新年度をもって完了するので今後はさらにきびしい新環境基準に対処するため、総量規制を指導してまいります。
 また悪臭対策は、公害対策審議会から悪臭物質の環境容量について答申がありしだい、抜本的な対策を進めてまいります。水質汚濁対策も工場排水規制の段階的強化で徐々に改善されていますが、これまで未規制の有色排水対策について、測色技術を導入し、調査に取り組みます。
 なお、汚染物質の科学分析項目の増加などにより、新年度は旧鷹岡事務所2階へ、新たに公害分析セソターを設置し、分析機能を充実します。このほか、光化学スモッグ・窒素酸化物・酸性雨などの対策はもとより監視体制を強化し公害問題の早期処理にあたってまいります。
 大気汚染に係る健康被害については、公害健康被害補償法にもとづく対象者580人分と富士市公害健康被害補償条例に基づく対象者180人分の予算を措置しました。


交通安全対策…8,835万円

 歩行者と自転車利用者の事故防止を重点に、交通安全施設については老人や身障者、乳母車などの安全な通行を考えて、歩道や道路照明灯、反射鏡などを整備します。また、学校を中心に地域に密着した指導体制の確立と「幼児交通安全クラブ」の結成を進めていきます。


消防防災対策…7億5,927万円

 市民生活の安全を守るため、消防対策として、仮称北消防分署建設のための用地取得、第22分団詰所の移転新築、普通消防ポンプ車の更新など消防団施設の整備と防火水槽6基の設置を行います。さらに、新しい試みとしてパトロール車などに無線機を登載して日常の市民サービスに力を入れるとともに災害など非常事態発生の未然防止と、正確な被害状況の把握、通報と的確な対応策の指示徹底など防災機能の向上に役立てるための行政無線を設置します。


医療対策と病院事業…18億5,027万円

 市民の健康な守る医療対策は、市立中央病院に医療技術の進歩に対応した検査機器を導入します。また、来院者のための環境を改善するため待合室の拡張も行います。
 医師会に対する救急医療などの業務活動に対する助成についても必要な措置を行い、市民がより充実した条件のもとで医療が受けられるようにしました。


特定疾患救済…125万円

 特定疾患対策は、最近ようやく援助の手が差しのべられ、関係者の経済的負担も除々に軽くなりつつあります。スモン・ベーチェット病などの治療助成についても、入院の場合月額6,000円、通院の場合月額3,000円を支給いたします。

快適で住みよい豊かなまちをつくる課題

 市民の快適な生活を保障し、機能的な都市をつくりあげるためには、より便利な都市環境を総合的に整備する必要があります。とくに住宅・道路・下水道などをはじめとする生活環境施設の整備は、20万都市として躍進を続ける本市形成の基盤をなすものであり、これからも積極的に取り組んでまいります。


住宅対策…11億8,365万円

 国の住宅対策、地価対策に期待しながら、富士見台団地に80戸、田子浦団地に40戸、あわせて120戸の市営住宅を建設します。民間の自力建設を促進するため勤労者持家住宅建設資金融資事業、老人同居世帯、住宅改良資金融資事業についても必要な措置を行いました。老人同居世帯住宅改良資金融資事業は、貸付限度額を85万円と100万円に引上げます。


道路の整備…14億9,692万円

 新年度は国道1号沼津バイパス、西富士道路の事業促進について、関係機関に対しさらに強く要請します。一般市道についても主要27路線の新設改良をはじめ、舗装、維持改良などを進めます。
 都市計画道路は、臨港富士線をはじめ国庫対象8路線と市単独事業による幹線街路などの整備や用地先行取得などを進めてまいります。


緑と自然保護…3億8,650万円

 市民生活に緑の美観と憩いの空間を提供する都市公園の整備や、昨年5月運動公園としてオープン以来多くの市民から親しまれ利用されている富士川緑地を、5か年計画で10ヘクタールに拡大造成します。また総合運動公園の建設は、野球場の早期完成が強く要請されておりますので、51年度使用開始を目標に工事を進めてまいります。このほか丸火自然公園の整備や街路樹植栽などにあわせ「緑いっぱい市民の会」を中心とする緑化推進組織の活動など、緑化事業を展開します。
 また、富士・愛鷹山麓の自然を守るため、山麓の大規模開発を一切認めない方針や、土採取条例など国や他の自治体にさきがけ市独自の施策を行い、一応の成果をあげてまいりました。国はその後,国土利用計画法の制定をはじめ、都市計画法や森林法の一部改正など立ち遅れていた自然保護関係諸法令の整備を行いました。県も愛鷹山自然環境保全地域の指定など短期間のうちに急速な整備を行いました。したがって今後はこれらの効率的な運用で、かなりの成果が期待できます。


し尿及びごみ処理…5億8,850万円

 全市的観点にたった新たな処理体制確立の検討とともに、ごみ収集車4台の更新と第1・第2清掃工場の焼却施設などを改善し、収集、運搬、処理能率の向上に努めます。


農林業及び中小企業振興対策…10億4,879万円

 本市産業の大部分を占める中小企業や農林業などの振興は、豊かなまちづくりへの基盤といえますので、新年度も可能な限り進めてまいります。
 農業の振興策としては、引続き土地改良事業などを中心とする土地基盤整備を重点的に取り上げました。
 林業については、森林のもつ治山治水などの公益的機能を高めるため造林保育に対しての助成や優良柱材の生産奨励などで林業の育成をはかります。
 中小企業振興策は、小口資金協調融資や季節融資、商工組合中央金庫貸付預託などの増額をとくに考え、融資の円滑化をはかりました。
 このほかの施策としては市街地の開発事業、上水道の整備下水道事業なども積極的に行います。

こどもや老人などの生活を守る課題

 最近の社会経済情勢の急激な変化は、老人・心身障害者などの社会的弱者に、より深刻な影響をおよぼしています。このような社会的矛盾を解決するには、国や県の施策の枠内で処理するのみでなく、ときには一歩先取りした市独自の施策を行う姿勢が必要です。これまでも児童手当の支給、乳児や老人医療の無料化、精神障害者の医療費助成、重度身体障害者介護手当の支給などを実施してきましたのも、こうした発想にもとづくものです。


こどもと母親のための施策…1億3,736万円

 良い環境のなかでこどもの保育が行われることは、働くおかあさん方の最も望むところです。新年度は、周辺の環境条件などから移転が望まれていた第2保育園の移転改築事業を、富士地域公害防止計画関連事業として実施します。また、仮称駅南保育園開設に備えて敷地造成事業を行うとともに、鷹岡地区の民間保育園建設に対する助成や民間保育園運営費助成についても必要な措置を講じました。
 このほか、乳幼児医療費の助成についても、4,100人分を措置するとともに、児童遊園地についても引続き整備を進め、こどもの健全育成に努めます。


老人対策…4億68万円

 老人福祉で大切なことは,お年寄りの憩いと生きがいの場を設けて、広く社会参加の道を開くことといえます。このため新年度は、老人クラブ活動の助長や就労相談などの生きがい対策に加え、新たに社会福祉センターの隣接地へ園芸ハウスを設置し、趣味を生かしながら緑化推進に参加していただきます。


消費者対策…10億1,644万円

 一地方自治体の権限と努力による消費者行政、とくに物価対策はおのずから限界があります。しかし、消費者に直結する自治体としては、市民生活を守る立場から、国や県、業界、消費者との連絡を密にし、可能な限りの施策を展開します。当面、富士市消費者運動連絡会消費生活モニターなどの消費者組織と協調しかしこく強い消費者層を拡大します。


勤労者福祉対策…1億1,921万円

 勤労総合福祉センターの建設は、国の公共事業繰延べなどの影響をうけてすこし遅れていますが、このほど基本実施計画もきまり、51年6月開設を目途に、4月着工のはこびとなりました。


雇用対策…731万円

 “労働事情対策連絡会”を設置し、労働調査、情報の把握、再就職の促進、相談などを行うほか、関係機関とも連絡しながら、労働事情の回復がはかられるよう適切な措置を講じます。

教育や文化の水準を高める課題

 変化する社会環境に対応するには自らが新しい時代意識を持ち、流動化する社会に合った創造力とたくましい行動力が必要です。そのためには、小中学校など人間形成の基礎的な場としての学校教育環境をより充実することはもとより、社会教育の場や体育施設の整備に努め、心身ともに健全、かつ積極的な市民性を養うことが必要です。


小学校の整備…11億5,265万円

 生徒数増加による岩松小学校の増築や公害防止計画事業による今泉小学校の改築事業、仮称富士見台小学校新設のため用地取得などを行います。


中学校の整備…6億3,804万円

 田子浦中学校屋内運動場の新築事業や大淵中学校にプールを建設するほか、須津中学校改築のため設計を委託しました。


幼児教育…1億6,618万円

 大淵幼稚園保育室の増築と、土地開発公社が田子浦幼稚園移転のための用地を取得します。このほか、私立幼稚園の父母負担について、本年度、園児ひとり年額2,000円を6,000円に増額しましたが、新年度はさらに1万円に増やし、保護者負担を軽くしました。


高校教育…2,000万円

 市立商業高校が専門高校としての機能が発揮できるように、小型電算機の導入など教材備品の整備を行います。立商業高校が専門高校としての機能が発揮できるように、小型電算機の導入など教材備品の整備を行います。


社会教育…6,500万円

 神戸・今宮などの地域を対象とした仮称北公民館の新築を行います。また、昨年10月完成した少年自然の家も、オープン以来活発に利用されていますので、新年度はより内容の充実した運営管理を行います。


計画的な都市づくりを積極的に

 以上昭和50年度における施策の大綱と所信を申し述べましたが、市長就任以来今回で6回目の予算編成となりました。しかし、新年度の予算ほどきびしく、苦労した編成ははじめてで、かって経験したことのない苦難の年といえます。
 このようなきびしい状況下とはいえ、都市の主人公である市民に直結する自治体としては、市民の行政に対する要望にこたえるとともに、計画にもとづいた都市づくりを進めるための施策は、可能な限り実現しなければなりません。インフレ下の不況というきわめて困難な財政環境下ですが、結果的には積極的予算となりました。

一般会計当初予算

【歳入】 計173億7,500万円

★繰入金 5,870万円
★市税 97億422万円
★地方譲与税 1億3,000万円
★地方交付税 4,000万円
★分担金及び負担金 4億2,018万円
★使用料及び手数料 2億4,524万円
★財産収入 6,526万円
★交通安全対策特別交付金 2,000万円
★市債 12億8,480万円
★娯楽施設利用税交付金 2,600万円
★諸収入 20億9,687万円
★県支出金 5億2,018万円
★寄付金 545万円
★自動車取得税交付金 1億6,000万円
★繰越金 4億円
★国庫支出金 21億9,810万円


【歳出】 計173億7,500万円

★総務費 20億8,541万円
★議会費 2億1,593万円
★土木費 39億6,147万円
★労働費 1億3,422万円
★農林水産業費 5億8,170万円
★商工費 5億7,835万円
★民生費 26億2,584万円
★消防費 6億457万円
★衛生費 19億316万円
★災害復旧費 1億4,586万円
★教育費 33億1,502万円
★公債費 12億495万円
★諸支出金 50万円
★予備費 1,802万円


各会計別予算

一般会計……173億7,500万円
特別会計……52億2,760万円
=特別会計=
国民健康保険事業……18億9,600万円
下水道事業……4億4,700万円
青島・津田土地区画整理事業清算金……1,850万円
依田原新田土地区画整理事業……7億3,400万円
富士中部土地区画整理事業……8,721万円
学校給食事業……7,970万円
魚市場事業……953万円
地方卸売市場事業……12億8,230万円
駐車場事業……6,170万円
公共用地先行取得事業……5億2,220万円
内山……3,258万円
旧吉原……100万円
旧島田……209万円
旧今泉……2,765万円
旧今泉・一色・神戸・今宮……1,370万円
旧元吉原……104万円
旧須津……174万円
旧吉永……536万円
旧原田……430万円
=企業会計=
水道事業……13億9,311万円
病院事業……18億4,869万円
市の予算総額……258億4,440万円
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