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【広報ふじ昭和50年】市の財政を苦しめる超過負担

超過負担は市民の税金を国が二重どり

市の財政を苦しめる超過負担。この問題は昭和40年ごろからとり上げられてきましたが、地方財政の危機が叫ばれている今日、とみに声が大きくなってきたことは皆さんご承知のとおりです。当市でも3月定例市議会において、市の財政問題に関連し、超過負担の解消を中心に論議され、改善のため国に対して強く働きかけていくことになりました。この機会に超過負担問題にスポットを当て、みなさんと考えてみたいと思います。

超過負担の原因は…

 市の仕事には、通路の整備や公民館、学校、保育園の建設、福祉事業などいろいろあります。このなかには、義務教育、保育、国民年金など国が責任をもってやらなければならない事業もたくさんあります。市でこれらの事業を行うには当然お金がかかるので、法律によって必要な金額を国が負担することが定められています。
 ところが、国が法律にもとづいて負担すべきものを負担しないため、富士市でも昭和48年度に5億6,414万円も余分なお金がかかりました。これを超過負担といいますが、この内容は次頁表のようになっています。
 超過負担の原因は、国が定める基準と実際にかかる金額の間に大きな開きがあるからといえます。
 昭和48年度に建設した岳陽中学校の給食施設を例に上げてみると、実際の費用は1平方メートル当り7万3,739円で261平方メートルの建物ですから1,924万5,879円かかっています。しかし、国の算定による補助額は1平方メートル当たり4万4,240円とし、面積も100平方メートルしか必要ないということで442万円。補助はこの2分の1で221万円が交付されたにすぎません。
 このように、1平方メートル当たりの単価で2万9,499円の開きがあり、給食の設備をととのえるに必要な面積も実際より161平方メートルも狭く見積っています。これを「単価差」「数量差」といいます。また学校建築などの場合、国の補助対象は校舎だけで門やへい、備品などを認めないため、補助の対象から除外されてしまいます。これが「対象差」となります。
 このほか、施設の建設事業ばかりでなく、国から義務づけられている機関委任事務(国民健康保険、国民年金、統計調査など)の処理にあたる事務員の人数や運営費も少なく算定されています。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 超過負担をなくさなければ学校建設も思うようにできません

5年間の超過負担18億7,491万円

 こうしてでた超過負担は、富士市の場合過去5年間を見ると
・昭和44年度 1億5,969万円
・昭和45年度 2億4,098万円
・昭和46年度 3億9,903万円
・昭和47年度 5億1,107万円
・昭和48年度 5億6,414万円
合計18億7,491万円にものぼっています。この大変な金額は、当然国が支払うべきもので、市民が肩がわりしているといえ、国が税金の二重どりともいえます。超過負担がなくなるだけでも、沢山の学校や保育園などの福祉施設がつくれます。


全国革新市長会が解消を要請

 全国知事会や革新市長会などは、「地方財政が苦しいのはこうした超過負担が積もり積もった結果だ」として、超過負担解消を強く働きかけてきました。これに対し政府は、「地方財政が硬直化したのは人件費の膨張が原因」と主張し、人件費引き下げを迫って、論議されています。
 いずれにしても、地方公共団体が補助事業などを実施する場合、国庫補助負担金の補助基準が、地方の実情に合わず、超過負担が増える一方で、市町村の台所を苦しめています。
 昨年、当市の市長も参加している全国革新市長会は、インフレに反対し、市民のくらしと地方自治を守る立場から、1.超過負担の解消について2.地方公務員の給与改定について国に強く要求する運動を展開しました。これに対し、国から6項目の合意事項が出され、大きく前進しました。合意事項のうち超過負担の解消については
1.今年度の実態調査の結果に基づいて、超過負担解消のため最大限の努力をする。
2.新年度予算においても引続き超過負担解消の努力をする。
3.超過負担解消のため、地方関係団体において委員会を設置するときは、関係各省庁は随時これに出席して意見の交換、協議を行うよう自治省が努力する。自治省はこの委員会に委員として参加する。
4.既往の超過負担分については調査検討する。

税財政制度の改正を

 超過負担をなくさせる運動は、国と自治体の財政民主化を確立させるものですが、この問題を足場にして市民本位の税財政の道を確立することも重要な課題となっています。
 市民のみなさんがいろいろな名目で納める税金を100とするとこの内67.5パーセントは国税として税務署へ納め、自治体には32.5パーセント、地方税として県へ17.2パーセント、市へ15.3パーセント納められる勘定になります。ところが実際の仕事で使われる予算になると、総予算のうち国が30パーセント、自治体70パーセントで、逆になります。これはいったん国に入った資金が、地方交付税、国庫支出金などの名目で自治体に配分されてくるからです。しかし、富士市は不交付団体なので、普通地方交付税は1円ももらっていません。
 自治体は国全体の7割の予算を使うわけですが、市民のみなさんのために自主性をもって使えるのは、住民税、固定資産税などの「地方税」と、国から配分される財源の一部しかありません。
 「3割自治」といわれるように、市の予算の3割ほどが、市民福祉のために自主的に使えるだけで、あとは国からの「ひもつき」であったり、使い道が決められている財源です。とくに国から配分されてくる国庫支出金の中味は、仕事の実情とかけはなれているため、市はわずかな自主財源を削って、国からの財政不足につぎこまなければなりません。
 このように国と自治体との不公平な税財政制度を根本的に改ためて、市民生活に直接つながっている自治体財政を強めることが、いま緊急に求められている課題です。
昭和48年度 富士市の超過負担額 総額5億6,414万円
★保育園建設 4,151万円
★公営住宅建設 1,673万円
★小中学校建設等 4,977万円
★保育所運営費 2億2,387万円
★農業委員会費 2,390万円
★国民年金事務費 429万円
★国民健康保険事務費 346万円
★その他の建設事業 1億4,880万円
★その他の事務費等 5,181万円
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