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【広報ふじ昭和50年】自然保護が叫ばれている中で 林業経営の近代化に“協議会”づくり

 富士市の総面積の約3分の2は、標高200メートル以上の富士・愛鷹山麓地域になります。豊富な緑におおわれた山麓地域は、私達にとってかけがえのない唯一の自然地帯といえます。この自然を守り育てていくために今すぐにでも行わなけれはならない問題のひとつとして、林業経営の近代化があげられます。市も林業関係者と一体になってこの問題に取り組んでまいりますが、市の考えている林業の育成、保護などを現況を見ながらお知らせいたします。

1ヘクタールの森林で52万円の公益性

 森林の果す役割は、木材生産をはじめ、水源を守るはたらき、大雨の時に土砂の流出や、土砂くずれを防ぎ、酸素を供給して大気をきれいにし、野生の動物を守り、人々にレクリェーションの場所を提供する等のはたらきがあります。
 これらを昭和47年度に林野庁がわかりやすく金額により表したところ1年間に1ヘクタールの森林で52万円の公益性が認められています。これを市内の森林面積を1万ヘクタールとすると52億円にものぼります。この数字を見てもいかに森林が大切なものか、おわかりになると思います。
 しかし、木材生産面で見ると、林業は割りに合わないと言われます。たとえば、40年生のひのき1ヘクタールを伐採した場合、普通の状態で664万3,000円です。ところが生産経費は、手間賃、下刈代、伐採代などを含め最小限の造林施業として、年利7分で計算すると799万円となり、134万7,000円の赤字となってしまいます。
 これでは林業に見切りをつけて、土地を手放してしまう人も当然出てきます。ひいては大企業の土地買占めとなり、大規模開発の原因にもなります。
 そこで、採算のとれる林業、もうかる林業への発想の転換が必要です。それには、間伐材の有効的な活用、特種林産物の生産、林道網の整備、林業労働力の組織化などによる経営の合理化が考えられます。しかし、林業を取りまく現況は、生産の長期性、労働力の不足、零細な生産規模外材攻勢など楽観はできません。今こそ、強力な行政のテコ入れが要求される時だと思います。
 また、市内の林業家が、林業に希望を持ち、健全な経営が営まれる時こそ、山麓の緑は安泰であるといえます。
 そこで、林業にたずさわる市内の林業労働者、木材業者、種苗業者、林業研究会員、林野消防隊員などを組織化し、林業振興協議会的なものを発足させ、林業振興の推進母体づくりをすすめる計画です。この協議会の中で、次のような活動を行い、林業経営に対する夢と情熱を喚気します。

私有林の経営指導を積極的に実施

●経営研究班をつくり中間所得の増加をはかるため、間伐事業の推進、特種林産物の栽培、優良材生産技術の向上のため学習林の造成などを実施する。
●労働班をつくり人手不足を解消するため、林業労働者の雇用、労働の円滑化をはかり、将来、林業の委託経営実行の時の受託組織づくりをする。
●防災班をつくり、林野火災の予防、盗林、盗石の防止と森林保護思想の啓蒙につとめる。
●環境班をつくり野生鳥獣の保護増殖と有害鳥獣の駆除を行う。

 このほか、造林、保育補助金の制度を新設し、森林資源を保続していく人達に援助をし、さらに積極的に私有林の経営指導を実施します。
 いずれにしても、明日の林業を考えると1日も早く実現していかなければなりませんので、林業関係者と協議しながら、積極的に取り組んでまいります。
- 写真あり -
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