【広報ふじ昭和49年】第1回青年議会
青年も市政に参加し、明るく住みよい街づくりをしようと、富士市青年団連絡協議会(渡辺重幸会長)は、第1回青年議会を10月6日鷹岡公民館で開催しました。議会には、各地区の青年団から選出された38人の議員と渡辺市長をはじめ、時田教育長、各部課長など市の代表者が出席し、活発な質疑応答を行いました。それでは渡辺市長の施政方針演説や委員会の代表者による質問、市の答弁などのあらましをお知らせいたします。
市民とともに進める都市づくり
ここ数年の間に富士市は名実ともに静岡県における中核都市として飛躍的発展を遂げてまいりました。
私は市長就任以来、市政執行上の基本理念として
(1)公害を追放し 美しい富士市を取りもどす
(2)大企業の土地買い占めと乱開発をおさえ富士愛鷹山麓の自然を守る
(3)お年寄りや子供を大切にし市民の健康を守る市政を発展させる
(4)住みよい生活環境のもとで安心して暮らせる街づくりをする
(5)中小企業と農村漁業などの地元産業を発展させる
(6)市民のための教育・文化・スポーツを発展させる
(7)20万市民を主人公とする地方自治政治を守り平和で明るい民主市政の発展をはかる
以上7項目をかかげてまいりました。そこで、これらの効率的、効果的な達成をはかるため、当面次の3点を基本に市政運営に当たってまいります。
■市民参加による都市づくりの推進
■シビルミニマムの達成を目標とした計画的な市政の執行
■市民のために働く市役所づくり
地方自治の本旨は、そこに生まれ育ち、働き、生活するための市民の施策を市民とともに進めることです。そこで変わりつつある市民意識の的確なはあくと住民運動などを通じて強まっている市民のエネルギーを市民参加まで高め、市民と市が一体となった都市づくりこそ、時代に対応した行政のあり方といえます。
青年の若さと情熱に期待
富士市を取り巻く内外の諸情勢はきわめて多事多端であります。この試練にたえ勇気と情熱を持って克服することこそ、主長としての責務であろうと考えます。今や我が国の自治行政は画期的な転機を迎えておりその流れも大きく変わろうとしています。我が国が法治国家であることを否定するものでありませんが、現下の自治体はただ単に、国の下請機関的な事務事業のみを行っておればよいという時代でないことは明白です。
そのような自治体では住民の福祉向上、安全、快適も保障することはできません。諸法律でカバーできない面についても、積極的に地域住民擁護のために活動すべきものであると心得ています。公害問題、環境問題、社会保障問題しかりであります。
私も市政運営に全力を傾注してまいりますので、青年諸君の若さと情熱を市政参加の中で発揮されるよう期待しております。
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( 写真説明 ) 施政方針演説を行う渡辺市長
青年も市政に参加 住みよい郷土づくり
■山麓地域の土地利用はどのように
第1委員会の明るい富士市を考える委員会は、西村信夫委員長が総合施設について、山林保全について、下水の排水能力と汚染についての3項目に渡って質問を行いました。このうち山林保全についての質問は次のとおりです。
富士・愛鷹の自然環境が土地開発や乱開発によって破壊され、山林の面積も減少し、大雨の時など水害の恐れさえあります。市では土の移動や採取を規制していますが、現に勢子辻付近に広大なゴルフ場の建設が行われています。自然を守るため、市は山麓地域の土地利用についてはどのように考えていますか。また、林道や空地にゴミ、古物が捨てられ山林の自然も破壊されています。このような事実について市はどのように考えているかお聞かせください。
市当局の答弁
富士・愛鷹の大規模開発は、今年4月許可しないと発表した。当時ゴルフ場などの建設計面は約11か所あったが市の行政方針にほとんど協力していただけました。しかし、南富士ゴルフクラブは市の方針を無視して建設を進めています。そこで、県と一緒になって、中止するよう強行手段に出ています。富士・愛鷹の自然を守り、市民生活を豊かにするため、みなさんといっしょになってこの問題に取り組んで行きます。不法投棄されるゴミについては、清掃管理課でパトロールを行っていますが、今後とも指導の強化をはかります。
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( 写真説明 ) 市の方針を無視して工事を進めるゴルフ場
■公民館の閉館時間を延長して
第2委員会のたくましい青少年教育をめざす委員会は、西家一委員長が、青年団への補助金増額、中央公民館と吉原・神戸地区公民館建設、公民館・中央図書館の開館時間延長について質問を行いました。
中央および吉原・神戸地区公民館の建設については、市の方針もあると思いますので、建設時期、規模を具体的に説明してください。もし、中央公民館が先に建設された時は、他地区公民館同様無料で自由に使うことができるでしょうか。
また、公民館は現在午後9時までですが、仕事を終えてから食事をしないで行っても7時30分ごろになってしまいます。1時間30分の公民館使用時間では、活動や討議も十分できません。夏の間だけでも30分延長を要望します。また、図書館の時間延長もあわせて要望いたします。
市当局の答弁
吉原に公民館をつくるため、数年前から土地をさがしているが、なかなか良い所が見つからない。町からはなれていては役に立たないので、なるべく中央にということです。
もし、中央公民館ができたらその使用料はということですが、公民館はたてまえとして無料で使用していただきます。
吉原・神戸公民館の規模は、公民館に必要な部屋数などを考え、最低330平方メートル以上ということです。
公民館と図書館の閉館時間延長については、公民館の利用が夜間に多いことから午後9時にしました。これは利用者の健康を考えたからです。しかし、会議の内容上どうしても9時までに終らない場合は、館長に申し出て、時間延長の許可を求めることができます。
なお、図書館の時間延長については、今後検討を行います。
■富士市の農業が他産地に対抗できる施策を
第3委員会の明日の農業を考える委員会は石川寿彦委員長が公設地方卸売り市場、市街化区域内の今後の農業畑地かんがい事業、公害対策について質問を行いました。
このうち公設地方卸売市場については、次のとおりです。
公設卸売市場が完成すると、市場の大型化と行政監督などで相場の変動がなくなり、農家は安定した経営ができ、消費者の食生活も豊かになるでしょう。
しかし、市場が大型化すれば当然、他産地のものが大量に入ってきます。団地化され、共同出荷されたものと、地場物では対抗できるはずがありません。このままでは当地区の農業は滅んでしまいます。さいわい市では、高能率生産団地が計画されています。公設卸売市場が建設されるいま、団地化を早急に行わなければ、明日の富士市の農業はないと考えますが、いかがでしょうか。
市当局の答弁
これまで公設卸売市場開設については約4年間に渡り、生産者、農業協同組合、消費者の立場で婦人団体、そのほか卸売市場を経営している方々と具体的な協議をしてきました。
市場ができて地域の生産農家が困ったということがあってはなりません。私はかえって逆だと自信を持っています。
たとえば、公設卸売市場から○○地域で来年タマネギを何ヘクタール作付けしてほしい、最低価格を割った場合には市が保障します。このくらい意欲的な姿勢で進みたいと思っています。生産者側もみなさん勉強した結果、最近は早く公設卸売市場をつくるべきだという意見です。
なお、現在ある市場との話し合いはみなさんと続けてきました。全部が入るまでになっていませんが、建設に踏み切ります。やがてみなさんの理解を得られると思います。
■すべての人に交通安全教育
第4委員会の車から生命を守る委員会は、勝亦一朗委員長が安全教育、安全施設、救急医療体制の強化について質問を行いました。このうち安全教育について上げてみました。
最近、子供や老人の交通事故が多発しています。そこで、免許証を持っていない人はもちろん、持っている人に対してもあらためて安全教育を考えるよう市当局に要望します。
また、安全教育を行うような場所交通教育センターの建設を要望します。
市当局の答弁
免許証を持っている方は免許の書き替えの時、法令講習会などを必ず受けることになっていますが、その他の人達は、各地域の社会教育推進会、安全協会などの団体と協力して講習会を開いています。しかし、各地域で開く講習会には、法規問題を充分知りつくした方しか出席されず、聞いてほしいと思う人は出てこないのが実情です。
これまでも年令に合った安全教育を行ってきましたが、なおいっそう努力いたしますので、みなさんの協力をお願いいたします。
交通教育センターについては歩行者、特に子供を対象にした教育施設、交通公園の建設を検討してまいります。
■青年活動充実のため“青年会館”建設を
第5委員会の青年会館特別委員会は、落合一彦委員長が青年会館建設について質問を行いました。
青年活動をより一層充実させるため、青年会館の建設を要望いたします。市の考えをお伺いいたします。
市当局の答弁
今のところ青年会館の建設計画はありません。みなさん、100万、200の政令都市と同じように物を考えてはこまります。市内には婦人会などみなさんと同じような団体が約80あります。青年だけ特別扱をするわけにはまいりません。
たとえば、むこう5年間を見て、今の所一番可能性があるのは中央公民館で、その中へ色々な団体と同じように青年も活動する所を確保する。これが現実の姿だと思います。
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