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【広報ふじ昭和49年】国の公害病認定患者に障害補償費など支給

国の公害病認定患者に、9月1日から医寮費のほか、障害補償費や遺族補償費が支給されることになりました。これは、「公害健康被害補償法」にもとずいて実施されるもので、8月16日の閣議で決定しました。なお、市の認定患者についても、国と同じような方法で実施していきたいので、現在、検討を行なっています。それでは補償法のあらましをお知らせいたします。

生活補償面に重点をおいた公害健康被害補償法

 公害病に対する医療救済制度は、富士市の場合、国と市の2本立てによって行なっています。
 これまで、国の救済法は、田子の浦港を中心に東は昭和放水路と赤淵川、西は身延線と早川、北は東名高速道路までを指定地域とし、この地域内の人を対象とています。この指定地域以外の人は市の認定患者となり、国と同じように医療費や医療手当などが受けられるようになっています。
 認定患者数は国が、451人(男251人、女200人)、市が145人(男87人、女58人)で、合計596人です。
 今回の「公害健康被害補償法」はこのうち国の認定患者に、障害補償費や遺族補償費などを支給するもので、市の認定患者はのぞかれます。
 補償法はこれまでの救済法に変わるもので、大きな違いは救済法では、医療費、医療手当、介護手当の3種だけでしたが、障害補償費、遺族補償費、遺族補償一時金、児童補償手当、葬祭料が加わり、生活補償的な面に重点を置いています。
 また、補償法は汚染者負担の原則を取り入れ、工場などの固定発生源と自動車などの移動発生源に対し、汚染物質の排出量に見合った賦課金を徴収して、そのお金で被害者を救済します。賦課金の比率は固定発生源が8、移動発生源が2の割合です。
居住期間をどの認定条件を大幅に短縮

 富士市は大気系の指定地域ですから、対象となる疾患は、これまでと同じ 
(1)慢性気管支炎 
(2)気管支ぜん息 
(3)ぜん息性気管支炎
(4)肺気しゅ
 とこれら4種の病気の続発症です。
 また、認定の条件も、補償法では救済法に比較して、居住期間、通勤、通学期間が大幅に短縮されました。居住期間は3年から「1〜3年」に、通勤、通学期間は5年が「1年6か月〜4年6か月」になりました。
- 写真あり -
( 写真説明 ) IPPB(間けつ的陽圧吸入器)で効果があがるぜん息治療

補償費は4ランクに分け支給

 障害の程度については、日常生活の困難度や労働能力の喪失度をもとにそれぞれの等級が決められます。等級は1級から3級までで、このうち最も重度の中から、特に常時介護が必要な心身の状態にある場合、介護加算を加えた特級となります。4ランクの障害の程度は次のように区分されます。

(特級・1級)
 日常生活が著しい制限を受けるか著しい制限を加えなければならない程度(労働できないか、労働が許されない)の心身の状態で、環境庁長官が定める基準に該当する場合です。特級は、常時介護を要する程度の心身の状態にあるものです。

(2級)
 日常生活が制限を受けるか、制限を加えなければならない程度(労働に著しい制限を受けるか、著しい制限を加えなければならない)の心身の状態で、環境庁長官が定める基準に該当する場合です。

(3級)
 日常生活がやや制限を受けるか、やや制限を加えなければならない程度(労働に制限を受けるか、制限を加えなけれはならない)の心身の状態で、環境庁長官が定める基準に該当する場合です。
- 図表あり -
( 図表説明 ) 補償費の給付標準基礎額

1級の40歳男子で138,200円に

 補償費は、表の「補償費標準給付基礎月額」で、障害の程度によって支払われます。この標準給付基礎月額は、労働省がまとめた全労働者の平均賃金(貸金構造基本統計調査報告)をもとにつくったもので、障害補償費は平均賃金の80パーセント、遺族補償費は70パーセントとなっています。

障害補償
 重症の特級と1級の場合は、標準給付基礎月額の100パーセント、2級は50パーセント、3級は30パーセントが支給されます。なお、特級は常に介護が必要な患者ですから、月18,000円の介護加算が支給されます。
 たとえば、40歳の男子で1級の場合は138,200円、2級は50パーセントの66,100円、3級は30パーセント41,460円が支払われます。

児童補償手当
 15才未満の子供たちに支給するもので、日常生活の困難度をもとに障害補償と同じように4ランクに分けてあります。特級と1級は2万円、2級は1万円、3級が6,000円で、特級には介護加算の18,000円が支払われます。

遺族補償
 生計を維持していた患者が、認定された病気で死亡した場合、遺族補償標準給付基礎月額によって、死亡後10年間支給します。なお生計維持者以外の場合は、一時金として給付額の36か月分が一括して支払われます。

葬祭料
 他の制度の例を参考にして、通常の葬祭にかかる費用として20万円を支給します。
 なお、補償費は9月1日から支払われることになっていますが、現在、障害の等級決めなど諸手統きを行なっているので、第1回目の支給は12月頃になる見込みです。
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