市内の河川の汚れは、大部分が製紙工場から排出される汚水が原因でした。特にSS(浮遊物質)はヘドロの原因にもなり、大きな社会問題となりました。このため、水質汚濁防止法や県の上乗せ排水基準の適用などで、だいぶよくなってきました。
しかし、茶かっ色の汚水はまだ良くなっていません。河川は、工場排水を岳南排水路に流しているので、きれいになりましたが、排水路の出口になる田子の浦港は、相変わらず茶かっ色に汚れています。
茶かっ色の汚れは、パルプの製造過程で出されますが、着色水の規制は水質汚濁防止法にもなく、脱色方法も現在研究がすすめられている段階です。これからは着色公害も規制されるようになるため、技術開発がいそがれています。
製紙工場から出される諸公害のうち、汚水の脱色が技術的に一番むずかしい問題といわれます。そのうえ研究も県や市、企業がそれぞれ独自に行なってきました。
そこで、県・市・製紙工業試験場・企業などが、おたがいの技術を交換しながら測定方法や脱色方法の研究を進めていくため、4月9日「パルプ排水脱色研究会」を設置しました。
なお、これまでの研究で真水にすることは不可能でも、かなりきれいにすることはできました。しかし茶かっ色に汚れた水がきれいにならなければ、水の汚染がなくなったとはいえません。このためにも今回発足した「パルプ排水脱色研究会」の技術開発の成果が期待されます。