富士市 FUJI CITY Official Site

富士市
広報ふじ > 昭和49年 > 昭和49年1月25日 150号 > 【広報ふじ昭和49年】新しい公害防止計画スタート

【広報ふじ昭和49年】新しい公害防止計画スタート

 富士地域の公害防止計画が48年12月18日に開かれた政府の公害対策会議で承認されました。この計画の対象区域は富士市、富士宮市、富士川町、由比町、蒲原町、芝川町の2市4町で、52年度を目標とする5か年計画です。富士市に関連する計画の概要は次のとおりです。       

48年度から52年度までの5か年計画

 この公害防止計画は、県が環境庁の指導を受けながら策定したもので、富士地区とともに全国で5地区の計画が承認されました。計画の目的は、すでに公害の被害が著しい地域や今後、公害が発生する恐れのある地域に対し、総合的な施策を講じ、住民の健康保護と生活環境を守るために、厳しい規制を行なっていくというものです。
 富士地区の場合、田子の浦港のヘドロに代表される水質の汚れ、公害病の認定地域に指定されているように大気汚染などの被害が深刻化しています。こうした現状に対し、大気汚染では総量規制方式の採用、水質の場合は処理施設の増設、などの対策をすすめていきます。
 計画のスタートは昭和48年度で、52年度までの5か年計画です。5年間の総事業費として事業者分270億円、公共分210億円が見込まれています。

大気汚染の防止

イオウ酸化物の削減は富士503計画を上回る

 大気汚染ではイオウ酸化物、降下ばいじん。浮遊粉じん、窒素酸化物、光化学スモッグ、ふっ化水素に対してそれぞれ規制を行なっていきます。
 イオウ酸化物については、高濃度汚染の出現は少なくなっていますが、総体的に汚染の慢性化、広域化の現象がみられます。具体的には、市内の年間平均値は0.049PPMで国の新しい環境基準を年平均値に換算すると0.015PPMになりかなりオーバ−しています。ということは、現在の1年間の排出量は51,263トンですが、今後の経済成長などを見込むと現状のままでほ52年度の排出量は171,057トンになると予測されます。新しい環境基準を達成するには排出量を17,876トンにおさえなければなりません。したがって現在の排出量でも3分の1以下にしなければなりませんし、52年までの成長率を見込んだ排出量だと約10分の1という大幅な削減をおこなわなければなりません。
 これは、富士503計画(50年までに0.03PPMにする)よりさらにきびしい規制を行なっていくことになります。


浮遊粒子状物質の規制は

 降下ばいじんは特に問題になる汚染状況ではありませんが、浮遊粉じんは環境基準を達成していない測定点があります。これら浮遊粒子状物質の目標は、現在、年間排出量が3,223トンですが、52年度には6,210トンになると予測されます。これをできるだけ早い時期に2,424トンまでに削減していきます。
 このときの年間を通じた1時間値の1日平均値は0.10ミリグラム以下(1立方メートル当り)になります。
- 写真あり -
( 写真説明 ) イオウ酸化物の排出量は0.015PPM以下に

窒素酸化物は0.02PPMのきびしい基準に

 窒素酸化物は現在、2測点で測定していますが、いづれも環境基準をオーバーしています。排出量は現在19,084トンですが、52年度には24,812トンになると予測されますが、これを5,302トンに削減します。目標値は1時間値の1日平均値を0.02PPM以下にすることですが、これは世界一きびしい基準で、排煙脱硝装置の開発など技術的な問題があります。
 なお、ふっ化水素については蒲原町で問題になっており、富士市には直接該当する施設はありません。
 以上の大気汚染物質を削減し、新しい環境基準を達成するための対策として、企業には(1)排煙脱硫装置を6基あるのを33基にふやさせる(2)燃料のイオウ分を少なくさせるとともに、重油をガスや灯油に変えさせる(3)ばいじんの処理施設を現在218基あるのを424基にふやさせる(4)排煙脱硝装置を設置させる などの指導を行なっていきます。
 これに対し、県・市は(1)排出規制を強化するとともに(2)工場の新増設に対する事前審査の強化(3)道路施設の整備(4)交通規制の強化などの施策をすすめます。

水質汚濁の防止

水質の汚濁防止には県の上乗せ基準で

 水質の汚れについては、河川で環境基準以下になっているのは潤井川の末端、沼川の上流、富士川だけで、その他の河川はすべて環境基準をオーバーしています。また、田子の浦港の港内と同水域でもオーバーしている測点がかなりあります。
 これを目標達成するためには、現在の県の上乗せ基準を完全に守ることが必要です。たとえば、沼川の場合、現在のBOD(生物化学的酸素要求量)の1日総排出量22.4トンを52年度までに3.8トンに、潤井川の場合も同じく15.8トンを4.2トンにしなければなりません。田子の浦港水域についても現在の560トンを半分以下の218トンにしなければなりません。
 この対策として、企業に排水処理施設を新増設させるとともに、上乗せ排水基準を強化して、目標を達成していきます。このほか、県・市は公共下水道の整備、し尿処理施設の整備、ヘドロのしゅんせつ、岳南排水路の整備なども行なっていきます。
 以上のほか、騒音対策、悪臭対策、廃棄物処理対策などについても公害防止対策が盛り込まれています。さらに、住民健康調査、学校や保育所など公共施設の移転改築などの公害保健対策、発生源の監視、測定機器の整備や組織の強化なども計画のなかに含まれています。こうした総合的な施策をこれから5年間、計画的にすすめています。したがって、この計画が達成されれば“青い空”“きれいな川”を取り戻すことができます。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 排水処理施設の新増設を


◇富士503計画との関連は…

 市はイオウ酸化物による大気汚染を防ぐために、「富士503計画」を実施しています。503計画は、昭和50年までに旧環境基準の年間を通じた1時間値0.05PPMを下回る0.03PPMにするために実施しているものです。今回の公害防止計画は、これをさらに一歩すすめ、新しい環境基準0.015PPMを昭和52年度までに達成するというもので、503計画は中間目標値的な役割を果たしています。
 なお、国の防止計画では汚染物質の総量規制を行ないますが、503計画では各工場ごとのイオウ酸化物の排出量を割当てるという、完全な総量規制を行なっています。
添付ファイル
※PDFを初めてご覧になる方は、ソフト(Adobe Reader)のダウンロードが必要です。
「Get Adobe Reader」のボタンをクリックし、説明に従いAdobe Readerをダウンロードして下さい。
Get Adobe Reader
広報広聴課 (市庁舎8階北側)
電話:0545-55-2700 ファクス:0545-51-1456
メールアドレス:kouhou@div.city.fuji.shizuoka.jp
〒417-8601 静岡県富士市永田町1丁目100番地 電話 0545-51-0123 ファクス 0545-51-1456
E-mail kouhou@div.city.fuji.shizuoka.jp