富士市長 渡辺彦太郎
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謹んで市民のみなさまに新年のご挨拶を申し上げます。
昭和48年は師走選挙のなかであわただしく過ぎ去り、ここに昭和49年の新春を迎えましたことをまず、お喜び申し上げます。
過去、私は「都市の主人公は市民である」ことを基本として、当市の発展と市民福祉向上のために山積する事業の遂行に全力を傾注してまいりました。辛い市議会をはじめ、市民各位の深いご理解とご協力のなかで、その意とするところをいささか達成できましたことを心からお礼申し上げます。
新らしい年を迎えるにあたりまして、この1年市政についてふりかえってみますと、予算面では、市民福祉の向上を最優先とした社会保障の先導政策、さらには生活環境施設などの整備充実に力点を入れた大型積極予算を編成し、明るい豊かな市民生活への環境づくり、環境保全対策の推進、教育環境の充実と社会体育施設の整備、市民のくらしを守る福祉の増進を図る具体的施策を順調に執行してまいりました。なかでも、緑と花の百科展、緑いっぱい市民の会の結成を契機に「緑化運動」が市民自らの実践によってすすめられるとともに、市内の河川への稚魚放流に併せて、地域住民の河川美化意識の向上は「公害のまち」といわれた本市のイメージを「さわやかな緑と清らかな水に象徴される美しい都市」に転換させようとする市民意識の単的な表われであり、市民自らが参加する都市づくりの定着への大きな収獲であったと思います。また、福祉元年ということがよくいわれましたが、当市は国、県の福祉施策に先がけ、児童手当の支給、乳幼児及び老人医療の無料化等、市独自の施策を積極的に進めてまいりました。
次に、昨年は私達国民生活が非常に圧迫された年であったと思います。即ち、石油危機のなかでインフレ、物価高、物不足という追打ちに、日本経済はかってない重大な局面を迎え、殊に鋼材や塩化ビニールなどの大暴騰は公共事業にも少なからず影響を与えてきました。更に、紙、洗剤、砂糖など生活必需品パニックまで生じ、にわかに統制経済への道が憂慮されるなど事態は深刻化しつつあります。こうした社会的、経済的不安と焦慮を解消し、国民生活の安定向上を図ることこそ、新らしい年への政治的課題と考えます。
本年は、これら多事、多雉を思わせる社会経済の動向を反映し、市政運営は更に一段と厳しさを加えるものと思いますが、当富士市が抱える一連の都市問題の解決を早め、且つ多様化する市民要求を踏まえた新しい創造的市民生活を保障するまちづくりの展望をひらきたいと存じます。
終りに、市民の皆様のご協力とご支援をお願いし、併せてご多幸をお祈り申し上げましてご挨拶といたします。