原田小学校5年 時政順子
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1、2時間めは図工だった。いやだなあ「下がきからうまくいかないんだもの。早く終ればいいのにな。」と思いながら、へたな絵とにらめっこしてしかたなしにかいた。どうしてもかく気がしない。
みんなを見ると、ふざけている人もいるが、みんないっしょうけんめいである。もうほとんどでき上がりそうだ。「できた。」大声が聞こえた。次々に「できた。」と声がつづいた。でき上がったみんなの絵を見ると、自分の絵なんてやぶきたくなる。ふと、となりを見ると、元美君はくにひこ君とふざけていた。もうあきたのか、絵にらくがきをし合っていた。今度は、相手が変わって、ひでと君とやり合っていた。絵の中のかべに、しゅ色でかかれていた。「元美君の絵はきたなくなったなあ。」と思っていた。
「あっ!。」おもわず声が出た。元美君の水入れの水が、私の絵を半分ぬらしてしまったのだ まわりも水だらけ。元美君はふざけ合いをやめ、私はあまり急なことなので、どうしようかおろおろしてしまった。
みんなの目が私の方をいっせいに向いた。その時、私は思いがけずクラス中の「しんせつ」を受けた。みんながぞうきんを、持ってあつまってきてくれた。絵がよごれてしまわないように、君代さんが新しいぞうきんで、ふいてくれた。
私は通る道もなかったので、こまっていると、しの田君が、私にぞうきんを投げてくれた。ふと下を見ると、石井君がゆかのぬれた所などをふいてくれた。みるみるうちに、こぼれた水は、きれいにふきとられた。おろおろしていた気もちもいつのまにか、きえていた。絵もすこし色がうすくなったがなんとか助かった。ああよかった。
私は、てつだってくれた、みんなに「ありがとう。」といいたかったが、はずかしくて、大きい声でいえなかった。いつも、女の子をいじめている男の子がこんなにしんせつだなんて思ってもいなかった。なんだか、きょうは男の子がとてもりっぱに見えた。私はこのクラスが、いい人ばかりで、とてもうれしくなった。きょう、みんなにしんせつにしてもらった、気持ちをわすれないで、これからはどんどん進んで、しんせつをしようと思った。