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【広報ふじ昭和48年】市民とともにすすめる緑のまちづくり

富士市緑化基本計画

今年度から8年計画で実施

 緑が私たちの生活にもたらす効果は、はかりしれません。幸い富士市には富士山や愛鷹山の豊かな緑があり、東京、大阪など大都市に比べ緑が不足しているとは感じません。しかし、都市化が進み市街地においては、目に見えて緑が少なくなってきました。また、開発の手が山麓地域にまで及び、自然を破壊しようとしています。
 緑は人間が自然と交わる数少ない空間で、一度失ってしまうともとどおりにするには、膨大な経費と長い時間がかかり、きわめて困難です。多くの人が緑の不足を訴えるようになってからはでは、遅すぎますから今のうちに対策を立て、積極的に取り組まなければなりません。
 このため、市では市民とともに緑のまちづくりを進めるため、“富士市緑化基本計画”をつくりました。計画は、緑を守り、つくり、育てることを目的に、昭和48年度から55年までの8年間に実施する基本的な計画です。なお、目的を達成するため、毎年度ごとに実施計画を別につくります。

都市には15人に1本の大樹が必要

 緑がもたらす効果は、大気の浄化、水資源のかん養、都市防災、都市美観、精神の安定効果など生活に、快適な都市環境をつくり出すうえにおいても、ぜひとも必要なものです。緑を守り、つくり、育てることは、だれでも、いつでも、どこでも参加できる都市づくりで、だれしも願っている「快適な生活環境のもとでの健康で文化的生活」の実現にも通じます。
 緑の必要量を計算することはきわめて困難ですが、緑化事業を進めるうえにはある程度の数量をつかまなけれはなりません。そこで、都市公園法による人口1人当たりの所要面積基準に基づく公園の必要量、樹木のじんあい吸着ろ過機能からみた樹林の必要量、人間の呼吸に必要な酸素供給からみた樹木の必要量を算出しました。


■都市公園法による人口1人当たりの公園の必要量

 人口1人当たりの所要面積基準として6平方メートル(児童公園1平方メートル、近隣公園2平方メートル、普通公園1.6平方メートル、運動公園1.4平方メートル)が定められています。しかし、富士市においては市民1人あたり0.82平方メートルにすぎず基準を大幅に下回っています。
 基準から昭和55年の公園面積の必要量を推定すると、172.80ヘクタールとなり現在15.79ヘクタールが整備されているのであと157.01ヘクタールの設備が必要です。


■樹木のじんあい吸着ろ過機能からみた樹林の必要量

 樹木が大気の浄化装置の役割を果すことは知られています。常緑広葉樹林(カシ・シイなど)は、1年間に1ヘクタール当たり68トン、針葉樹林(ヒノキ・マツなど)でも32トンの亜硫酸ガスや一酸化炭素を含めた空中のじんあいを吸着ろ過します。したがって、富士市の大気汚染の実感から樹林の必要量を推定すると汚染地区を中心に広葉樹林の場合が約1,484ヘクタール、針葉樹林の場合3,154ヘクタールの確保が必要です。


■人間の呼吸に必要な酸素供給からみた樹木の必要量

 樹木や植物群は共同作用によって、空気中の炭酸ガスを吸収し、酸素を排出します。自然に成長した50年生以上の樹木1本(ブナ)で4人家族の呼吸に必要な酸素な供給すると言われています。このため、都市には15人に1本の自然に成長した大樹が必要なわけで、富士市の昭和50年における総人口24万人に対して、必要量を算出すると約16,000本になります。
 緑の必要量はある程度推定できましたが、次にどのような樹種を選ぶかが問題となります。特に富士市は、紙製造を中心とする県下一の工業都市で、樹木は大気汚染の影響を受けやすい環境にあります。選び出す条件として、一般的には、気候、風土に適したもの、都市環境に十分耐えることのできるものなどです。
- 図表あり -
( 図表説明 ) 昭和55年における公園の必要量(昭和55年の人口は24万人を想定)

緑化推進のために5項目のシビルミニマムを

 市民とともに緑あふれるまちをつくり出すため、共通の目標として5項目のシビルミニマムを設けました。
1.市民1人当たり6平方メートルの公園スペ−スを確保することを最終目標にしましたが、当面1人当たり3平方メートルを確保する。
2.幹線道路の歩道や分離帯に、街路樹などを植える。公共施設を設置する場合には空地、緑地を十分確保する。なお街路樹は市民15人当たり1本の植栽を目標とする。
3.富士山や愛鷹山の自然景観とそれによって形成されている富士市の特性を保全する。
4.開発行為に対する緑化の義務づけを行なうとともに、企業・事業所などは、自らの努力で緑の工場化をすすめる。
5.市民は常に緑を大切にするよう心掛けるとともに、市が行なう緑化に積極的に参加し、自らも家庭内への1本植栽などを通じて周囲の環境なよくするようにつとめる。
 以上の5項目は、「緑を守ること、緑をつくること、緑を育てること」の3つの施策がおたがいに調和をもってすすめられる時に、目標が達成されるものですなお、3つの施策の内容は次のとおりです。


◇緑を守る

・録の土地利用計画の樹立、緑と自然環境を守る条例(仮称)の制定。・富士山や愛鷹山の自然保護をはかるための学術的調査診断の実施。・丸火自然公園の整備。人工再造林の計画的実施。・海岸松林の保全。・アメリカシロヒトリ駆除の徹底。・古木、銘木、樹林地などの登録制度の実施と保護助成措置の制度化。・土地開発行為に対する緑化指導の徹底。・大気汚染防止対策の推進と水環境の保全です。
 なかでも、緑と自然環境を守る条例(仮称)の制定は急がなければなりません。富士市のように人口の集中化と都市化が急速な都市にあっては、ある程度の私権の制限を行なっても緑と自然の保護をしていくことが必要です。特に、宅地の細分化が進んでいる現在、緑と自然を守るうえで大切なことは、民有地などの自然環境を保全するための市独自の法制化です。
 また、土地利用の適正化をはかるため「土地利用対策委員会」が設置されていますので、開発行為を行なう申請者に、許可基準にしたがい緑化指導を行ないます。
◇緑をつくる

・児童公園、総合運動公園など都市公園の整備。・街路樹植栽の推進。・学校など公共施設緑化の推進。・モデル緑化地区の建設。・市営苗圃の整備。・市民の森(仮称)などの造成。・家庭緑化、商店街緑化、ビル緑化、工場緑化の促進です。
 公園は、現在20か所に設置され、総面積が15.79ヘクタールですが、人口1人当たりの基準面積に比べると整備がおくれています。また工業化や人口の集中化にともなう産業公害、都市公害などを防ぐためにも公園、緑地の整備を進めなければなりません。しかし、地価の高騰などで用地確保が大きな障害となっています。そこで、土地区画整理事業、公共用地などの積極的利用をはかりながら、市民1人当たり3平方メートルの公園スペ−スの確保を目標に整備を進めていきます。


◇緑を育てる

・市民緑化運動の展開と推進組織の育成・緑と花の百科展など緑化普及活動の展開。・環境緑化センターの建設と花木団地の造成。・緑化担当部局の強化。
 緑豊かな環境は、短期間で実現できるものではありません。市と市民が一体となってはじめて実現できるもので、幅広い市民の運動に裏づけられたときに、効果が発揮されます。特に都市緑化は、だれでも参加できる都市づくりで、家庭内への1本植栽運動、花だんづくりなど市民緑化運動を長期間にわたって進めることが大切です。“緑”を育てるため、みなさんひとりひとりが息の長い活動を続けてください。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 市民ぐるみで1本植栽運動を
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