【広報ふじ昭和48年】昭和48年度施策方針
すべての市民のしあわせと充実した市民生活の実現
市議会3月定例会で、渡辺市長は昭和48年度の市政方針をのべましたが新年度は「すべての市民のしあわせと充実した市民生活の実現」を市政運営の柱として、1.明るい豊かな市民生活への環境づくり 2.環境保全対策の積極的推進 3.教育環境の充実と社会体育施設の整備 4.市民のくらしを守る福祉の増進を重点施策に取りあげました。
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■市民福祉の向上を最優先に積極的な大型予算を編成
予算編成にあたっては、とくに市民福祉の向上を最優先に、社会保障の先取り充実と、市民生活に直結する生活環境施設など社会資本の充実整備に力を入れました。あわせて、任期4年と定められている市長職でありますので、一応その区切りを明確にし、総まとめの意味から、重点施策の実行を基調に、多くの市民からの要望にこたえるための施策を可能な限り取りいれて「積極的大型予算」を編成しました。
予算規模といたしましては、一般会計予算の総額が112億円で、昭和47年度の当初予算額と比較すると28.7パーセントの伸びを示しています。これは私が市長に就任した昭和45年度当初予算の約2倍に相当する予算規模であります。また、特別会計は、水道事業、病院事業の両企業会計及び国民健康保険事業会計を含め20会計で予算総額は64億5,594万円となり、本年度当初に比べ44.9パーセントの増加となっています。したがって、一般会計、特別会計の総予算額は176億5,594万円となり、本年度当初に対し34.2パーセントの伸び率を示しています。
次代がよりしあわせになれる生活環境づくりを
生活環境は、市民の日常生活や行動を支える基本的な条件であり、生活環境の良否は、直接市民の生活水準に深いかかわりをもつものであります。明るい豊かな市民生活への環境づくりをするためには、市民の生活態様の向上に見合った環境に充実整備することが必要であります。とくに、これからの生活環境の整備はただ単にわれわれの世代における向上をはかるだけでなく、次の世代がより良くよりしあわせに生活することができるための条件を整備するという観点から、将来を展望し、先行的に進めなければならないと考えます。
そこで、道路整備をはじめ、交通安全対策の充実、上水道の整備、ごみやし尿処理の充実をはかります。
なかでも道路環境の改善では、都市計画街路や一般道路の整備を進めます。都市計画街路の整備としては本年度に引き続き臨港富士線ほか、国庫補助対象8路線の改良・舗装並びに市単独事業による幹線街路18路線の整備を行ないます。また一般市道の整備としては、新設、改良、舗装、維持改良などを行ない、市民の交通安全の確保と交通体系の改革につとめます。
■公害防止と都市緑化を市民とともにすすめる
重点施策第2は環境保全対策の積極的推進です。健康で安全な環境づくりをすすめるためには、環境汚染の防止対策と環境美化対策の2つが考えられます。
このため、大気環境汚染防止対策は、イオウ酸化物の削減計画、すなわち「富士503計画」の達成と、監視のための自動計測器の設置を本年度に引き続き実施します。また、パルプ工場の悪臭対策については、当面、法対象物質に対する防止施設の検討と施設設置の方針を立て、改善方策を講じます。騒音、振動対策については、住宅と工場の分離による成果を目的に、浮島地域工業集団化事業に着手します。さらに、田子の浦港・沼川・潤井川などの水域における水質環境基準の達成、製紙工場から排出される大量のペ−パースラッジ処理の恒久的対策の確立などをはかってまいります。
次に、環境美化の推進ですが、健全な市民は健全な環境によってはぐくまれるといわれています。美しい景観、美しい環境づくりは、環境汚染防止対策ばかりでなく、人づくりの上からも大きな役割を果たします。
そこで、都市緑化につきましては、公園整備をはじめ、緑を植え、育て、守ることを基調に、自治体と市民が一体となった都市緑化の推進に力を注ぎました。 また、富士山や愛鷹山麓の自然環境の保全と土地利用をはかるため、科学的専門調査を行ないます。
■人づくりや体力づくりに施設の整備や開放
教育環境の充実と社会体育施設の整備では、小中学校の整備、幼児教育の充実社会教育施設や社会体育施設の整備を積極的に行ないます。
まず、次代をになう人づくりの基礎的教育の場となる小中学校の整備としては学校の新設をはじめ古くなった校舎の新改築、屋内運動場やプールなど体育施設の充実などをはかります。
また、幼児教育につきましては、その果している重要な役割を考え、私立幼稚園の運営助成、保護者助成費の増額、私立幼稚園就園奨励費の助成などの措置を講じました。
次に、市民の健康づくり、体力づくりに欠くことのできない社会体育施設についても、積極的な整備充実が必要です。
このため、総合運動公園の用地取得や整地工事をはじめ、学校体育施設の開放にともなう運動場への夜間照明施設などの整備を進めます。
■乳児からお年寄りまで医療費を助成
重点施策の第4は市民のくらしを守る福祉の増進です。市民福祉の前提条件はすべての市民が健康にしてかつ文化的な生活を営めることにあります。
しかし、児童・老人・心身障害児(者)など、とかく時代の変化にとり残されがちな人たちに対する問題が増大しております。こうした人たちに対する暖かい施策の徹底がぜひとも必要であることは「福祉元年」ということばの中に端的に表現されているところであります。
そこで、児童手当の支給も国の制度に加え、第4子以上の市独自の制度も実施するほか、乳児医療費の無料化を計るなど子どもの健全育成に重点的な配慮を行ないました。
老人福祉対策でも老人の健康を願い、70才以上のすべての老人が安心して医療が受けられるよう市独自の制度として所得制限を撤廃しました。
また、65才から69才までの寝たきり老人に対する医療費の公費負担についても、思い切った配慮をいたしました。さらに、60才以上の老人同居世帯、並びに老人と同居しようとする世帯を対象に、老人居室整備資金の貸付けなどを行ないます。
心身障害児(者)福祉対策につきましては、学齢前の在宅心身障害児の自立訓練を行なう施設として、心身障害児通園のための特殊保育施設を建設します。
このほか、流通機構の整備をはかり、生産物の安定供給体制を確立するため公設卸売市場の開設なども行なっていきます。
以上4項目にわたる重点施策について大要を申しあげましたが、新年度はこれら施策のほか、農業振興対策として浮島地域全体の理想的な土地利用をはかるため「富士東部圃場整備事業」の着手、消防機動力の充実、快適な市民生活を確保するためシビルミニマムの設定を前提とした市民意識調査などを実施します。
■市民から信頼され、期待される市政の実現に全力を
以上、昭和48年度を迎えるにあたり、新年度の重点施策を中心に、施政の方針について私の所信を申し述べました。それぞれの施策の実行に必要な財源につきましては62億9,400万円の市税収入をはじめ、補助金、地方債など望み得る財源すべてについて最大限の予算を計上いたしました。しかし、ドル切り下げによる円の変動相場制移行が、地域産業経済に及ぼす影響を今日の段階で予測することは不可能です。財政的にきわめてむずかしい環境下にありますが、これら財源の確保にあたっては最善の努力をいたします。
また、昨年の土地改良事業に係る不祥事件を反省し、再び事態の発生することのないよう、新年度からチェック機関として、工業検査室を設置し適正な執行をはかります。事務事業の実施にあたりましては、私をはじめ全職員一致協力して市民の奉仕者たる精神に徹し、市民から信頼され、期待される市政の執行に万全を期する所存であります。
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