【広報ふじ昭和47年】フッ素水素ガスの測定
アルミニュームの精練にともなって排出される“フッ化水素ガス”。人体への悪影響はもとより、植物に対する毒作用は成長障害などの被害も起します。市内では日本軽金属蒲原工場から排出されるフッ化水素ガスの影響が岩松地区に見られました。このため、県が昭和45年から、岩松農協や富士老人ホームなど4所でアルカリろ紙法による濃度測定をはじめました。また市でも独自に昨年9から岩松農協本所で自動記録計による測定もはじめました。1年間の測定結果はつぎの通りです。
- 写真あり -
最高濃度は0.6PPb
フッ化水素ガスの測定
大気中のフッ化水素ガスは、眼、歯ぐきなどに対し強い浸透性をもち、炎症性の痛みをおこします。しかし、大気中のフツ化水素が人体よりも大きな影響をあたえるのは、植物に対する毒作用です。たとえば、アヤメやカラマツなどは1.5PPbで72時間の作用で萎縮成長障害などの被害をおよぼす実験例があります。
年平均は0.1PPb比較的低い濃度
岩松地区におけるフッ化水素ガス濃度の測定は、昨年9月から岩松農協の本所に、連続自動記録計を設置し、実態調査をはじめました。測定方法は、比較対象ができるように、富士川町や蒲原町、発生源の日本軽金属蒲原工場が行なっている方法で実施しました。
岩松地区の風向は、岩本山や岩渕山の影響を受け、特に海風は比較的近い内陸部のみと考えられ、強い南風は岩渕山の影響を受けながら西北西または北西に変化します。市内の気象観測資料や実験結果でも一番多い風向は南西の風とされており、岩松農協の測定結果でも西からの風が多く観測されています。したがって、岩松地区の自然環境は比較的市内の工場群からの大気汚染の影響は受けにくいと判断されます。
1年間の測定結果を見ると、今年の8月に時間別最高値で0.6PPbが測定され、単位時間では高濃度が出現しました。年平均では0.1PPbと比較的低い値を示していることは、全般的に減少の傾向にあることはうかがえます。
しかし、富士市における公害行政組織の発足時、昭和41年から45年ころまでにおける農作物や植物の被害からして、他の地域に見られない影響があったものと思われます。
なお、フッ化水素ガスの拡散は、比較的気象に左右されず、距離で減衰するといわれています。松岡、森島、宮下などの地域は、発生源と3キロメートルラインと推定されるので、他の測点の参考から年平均0.3PPbの濃度があると考えられます。
*PPmは100万分の1。PPbは10億分の1。
- 図表あり -
( 図表説明 ) 自動測定機によるフッ化水素測定結果(単位PPb)
( 図表説明 ) 他市町村の自動測定機によるフッ化水素測定結果
添付ファイル
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