【広報ふじ昭和47年】悪臭の意識調査を実施
悪臭は健康に害がある
製紙工場から発生する悪臭で、付近のひとびとがどのような影響を受けているか、また、その臭気に対してどのように感じ、考えているか意識調査を行ないました。調査は、市内でKP(クラフトパルプ)を製造している大昭和製紙鈴川工場、大興製紙周辺の本市場、藤間、前田、今井など9地区と、比較対象として大渕地区を入れた10地区で行ないました。調査方法は、1地区から平均10人づつ選んで、98人に質問をして聞き取る方法で、14項目について行ないました。調査結果は次のとおりです。なお、調査にあたりご協力ありがとうございました。
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KP工場周辺の10地区を対象に
調査は、大興製紙と大昭和製紙富士工場周辺が本市場、蓼原、藤間、横割、柳島、前田の6地区。大昭和製紙鈴川工場周辺が依田橋、鈴川、今井の3地区、比較対象として大淵地区を選んで行ないました。なお、大淵をのぞく9地区では、各工場から1キロメートル以内に住んでいる人を対象に行ないました。
10地区で98人からアンケートを取りましたが、回答者は男17人、女81人で、21才から59才までの主婦層が67パーセントで過半数を占めています。また、現在地での居住年数は10年以上が最も多く67パーセント、次いで1年から5年が29パーセント、6年から10年が10パーセント、1年未満が1パーセントとなっています。
調査項目は「この辺ににおいはありますか」「何年前からいやなにおいを感じ始めましたか」「このにおいは何のにおいに似ていますか」など14項目です。
(1)この辺ににおいはありますか
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全回答者のうち94パーセントまでが、これまでに悪臭を感じています。においを感じないと答えたのは6人で、すべて大淵地区の人たちです。なお、いつもにおいがあると答えた人は、特に蓼原、藤間、元吉原地区に多くいました。
(2)この頃のにおいは去年やおととしに比べて
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「変わらない」「だんだん強くなってくる」と答えた人が全体の55パーセントを占めています。しかし、だんだん弱くなっていると答えた人が33パーセントで、わずかながらもにおいは弱くなってきているようです。なお、地区別では藤間、鈴川、今井地区ではだんだん弱くなっていると答えた人が多くいました。
(3)器物の故事はありますか
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あると答えた人が84パーセントで、このうちトタン屋根、トイ、窓枠、テレビアンテナなどの金属のさびが圧倒的に多くなっています。庭木や植木が枯れる植物の被害も蓼原、藤間、前田地区で比較的多く出ています。洗たくものの被害は、依田橋蓼原地区などで少し出ています。なお、この質問は臭気による公害というより、その他の公害に対する回答となってしまったようです。
(4)何年前からいやなにおいを感じ始めましたか
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10年以上前から悪臭を感じていると答えた人が最も多くいます。また、1年から6年前ごろから感じ始めたと答えた人が比較的多いのは、アンケートの回答者が現在地での居住年数が少ない若い主婦層が多いためと思われます。
(5)1年でどの季節が一番くさいですか
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季節では夏が32パーセント、次いで、1年中29パーセント、梅雨期22パーセント、冬10パーセント、その他7パーセントの順になっています。
(6)どんな時にくさく感じますか
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天候状態では曇が最も多く63パーセント、関係ない25パーセント、雨9パーセント、晴れている日は3パーセント。風速では弱い日が42パーセント、少しある日が22パーセント、関係ない21パーセント、強い日が15パーセントとなっています。
問(5)と問(6)の回答を総合すると、夏の夜半、曇っていて風の弱い時に最も臭気を感じている人が多くいます。これは、夏になると窓をあける人が多く、夜は嗅覚の感受性も鋭敏になるためと思われます。しかし、実際に臭気は1年中または1日中発生するのが実情です。
また、どの風向のときにくさいか、地区ごとに見ると本市場、蓼原、藤間は南風。横割は東風と南風。柳島は南風と北風。前田は東風と南風。依田橋は東風と南風と北風。鈴川は北風。今井は西風と北風となっています。この結果、においと風向とは密接な関係があり、工場より風下に当る地域に影響を与えていることがわかります。
(7)このにおいは何のにおいに似ていますか
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「何ともいえない」という回答が最も多いのは、嗅覚の表現が難かしい事を考えれば当然のことと思います。なかには「卵のくさった」「刺激性の」「豆を煮たような」という回答もありました。これらは、それぞれ硫化水素、メチルメルカプタンなどのブロー排ガスを表わしているとみられます。
(8)においは毎日の生活にどのように影響していますか
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まず影響していると答えた人は78パーセントで藤間、今井地区では全員が影響を受けていると答えています。
(9)においは身体に悪い影響があると思いますか
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悪い影響があると思っている人が78パーセントで、このうちのほとんどの人が、のどのいたみや頭痛、気分がいらいらするなどからだの異常をうったえています。
(10)においを悪臭公害と感じますか
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回答者のうち「公害とは思えない」と答えたのは3人だけで、ほとんどの人がにおいを公害と考えています。なおその他の内容は、慣れたので感じなくなった、わからないと答えた人たちです。
(11)このにおいをどのようにしたらよいか
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ほとんどの人が臭気対策はあると答えており、工場はもっとお金をかけて脱臭装置を設置すべきだと言っています。
このほか、「今日のにおいはいつもとくらべてどうか」「家族の中でだれが一番このにおいに文句をいいますか」「悪臭について感じていることを書いてください」などの質問を行ないました。
調査した範開内では、市民の悪臭に対する関心、知識、自覚などは予想を上回る結果がでました。また、集計結果を見ると、大淵地区を除くすべての人たちがKP工場のにおいを悪臭として感じています。その中には10年以上にわたって悪臭を感じている人が3割近くもあり、最近富士市に住み始めた人たちも、その時点から悪臭に悩まされているなど、悪臭対策の遅れが表われていると思われます。
悪臭による影響も生活上の不快感にとどまらず、頭痛がする、せきがでるなど健康への悪影響を訴えている人が8割にもおよびました。この悪臭の影響を受けている人のほとんどが「明らかに公害」という意識を持っており、発生源の責任で防止対策を実施すべきだとしています。
調査結果は悪臭防止対策をはかるための資料として活用します。
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