【広報ふじ昭和47年】県が工場排水の基準に上乗せ
8月1日から施行
水質汚濁防止法が6月24日から全面施行されました。このため、田子の浦港などに汚水を排出している工場に、全国一律の排水基準が適用されました。しかし、富士地域は水質汚濁がひどく、水質環境の保全が困難なので、県は田子の浦水域に上乗せ排水基準を設定しました。上乗せ基準は県条例で、厳しい規制や直罰規定などが設けられました。また、6月24日に県で実施した立入り検査の結果も出ましたので、あらましをお知らせいたします。
SS、CODを大幅にカット
工場や事業場などから排水される汚水で、川や海がよごれ、ほおっておけば漁類への影響だけでなく、人の健康にも被害を及ぼしかねませんでした。このため国は田子の浦港や潤井川などへ流している排水を規制し、きれいな水を取りもどすため、昭和45年10月水質保全法・工場排水等規制法で、水質基準を決めました。
しかし、汚濁物の複合、汚染範囲の拡大などのため、2つの法律では十分な防止ができなくなりました。そこで、規制措置をいっそう強化するため“水質汚濁防止法”が制定され、昨年6月24日公布されました。この水質汚濁防止法が公布されたとき、紙・パルプ製造業の関係は規制を1年間延期する処置をとってありましたが、本年6月24日からは、全面施行となりました。
水質汚濁防止法によって、規制を受けるのは、富士川左岸から沼津市の昭和第2放水路までの水域に汚水を排出している工場、事業所で、全国一律の排水基準が適用されました。排水基準は、人の健康に係る項目が8項目生活環境の保全に係る項目が14項目について規制しています。
この水質基準は全国一律のため、富士地域のように水質汚濁がひどく、水質環境の保全が困難な地域では、県知事によって上乗せの基準をつくってもよいことになっています。そこで、一般排水基準より厳しい規制や直罰規定を設け、県条例で、田子の浦水域の上乗せ排水基準を設定し、8月1日から施行します。
上乗せ基準が施行されると、富士地域の汚水を流している工場は、水質汚濁防止法の排水基準を守るほか、年次別・業種別・排水量ごとに定められた県条例にも適合する排水規制な受けることになります。
そこで、田子の浦港に流入するCOD(化学的酸素要求量)、SS(浮遊物質)の負荷量をへらします。なお、CODは1日632トン排出されていますので、約68パーセントカットし211.7トンにします。SSは930トンですから、昭和49年4月までに86パーセントカットして134トンにします。
立入り調査で10工場に改善命令を
水質汚濁防止法が、6月24日から全面施行され、1年間の猶予が与えられていた紙・パルプ製造業にも排水基準が適用されました。
現在、市内には紙・パルプ関係の工場は130工場で、猶予期間中に処理施設の改善や、新しい処理施設の設置を行なっていました。そこで、県は各工場が排水基準を守っているかどうか調べるために6月24日から立入検査を行ないました。立入検査は24日と26日から29日までで、80工場を行ない、汚水の採取や処理施設の操業状況を調査しました。
採取した汚水は、県公害防止センターで分析し、調査項目と合わせて検討を行ないました。この結果、立入調査した80工場のうち10工揚が排水基準のSS、CODを守っていませんでした。
10工場は処理施設に改善を要するものとか、処理方法に問題があったので、各工場に改善命令が出されました。
また、水質汚濁防止法の排出基準は、化学・メッキ工場などにも適用されますが、市内には51対象工場があります。このため、これらの工場の立入検査も随時実施していきます。なお、紙・パルプ関係の工場は、県の立入検査が終ってから残り50工場を市公害課において立入検査しました。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 県が工場排水にさらに厳しい規制
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