来年5月から国の悪臭防止法の規制基準が設けられ、工場、事業所、人の活動にともなって発生する各種の臭気物質が規制されることになりました。
このため厚生省では、基礎資料をつくるため臭気に代表される富士市を選んで実態調査を行ないました。今回の調査は紙、パルプ工場を中心に行ない、排出された悪臭物質が、どんな成分で、どの範囲に影響があらわれるかを調べました。
調査したのは、元吉原、依田橋、原田など市内でも悪臭のひどい地点6か所で8月4日から3日間、機械分析と官能テストを行ないました。機械分析は空気を濃縮し、悪臭物質と濃度を検出します。官能テストは、悪臭パネル(悪臭鑑定員)が実際に鼻でにおいをかいで、そのにおいが何倍の空気で希釈され、臭気として感じられなくなるかを調べました。
この結果、市内の悪臭物質の主成分はメルカプタン系、サルファイド系、脂肪系、含窒素系があり、特に硫化水素などサルファイド系の臭気が問題であることがわかりました。また、官能テストは、環境における空気は500倍から1,000倍に希釈しないと、臭気として残ることもわかりました。
この調査結果は、厚生省の委託を受けた日本環境センターがさらに分析し、市内の悪臭をどの程度に押さえることが望ましいかを検討することになっています。
今回の厚生省調査に引続き、8月上旬から発生源を中心とした悪臭調査を通産省で実施します。また、市公害課でも悪臭防止に関する体制を整備するため、悪臭分析装置(ガスクロマトグラフ)、悪臭実態調査員、悪臭濃縮装置などを置き市内の悪臭の実態を調べるとともに、今後の対策を立てます。
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( 写真説明 ) 悪臭の原因を調べる“悪臭パネル”