富士市は、45年度から2年間にわたり文部省から心身障害児教育の特別推進地区に指定されました。
さいきん、心身障害児ということばをよく聞きますが、このことばを正しく理解している人は意外に少ないようです。
心身障害児教育は、視覚障害児、聴覚障害児、精神薄弱児、肢体不自由児、言語障害児、病弱・身体虚弱者、情緒障害児を対象に、その子どもたちにそった教育を行うこです。
“学校ぎらい”“勉強ぎらい”ということばがあります。学校で一般の児童のなかで学習したり、運動したりするときに何かの障害があるために劣等感をもつためです。子どもには、それぞれに能力才能があります。それが何か一つの障害のために能力が伸ばせなければ、子どもにとってたいへん不幸です。
こうした子どもたちに障害別、能力別に教育するのが特殊学級です。適正な教育を行なうことによって、その子の能力を開発し社会へ出て役立つ人間にとして復帰させるのが目的です。
しかし、特殊学級を正しく理解している人は少なく「特殊学級へ入れるのはみっともない」という親がほとんどです。これは「あの子は特殊学級に入っているんだって……」という社会にも責任がありますが、そうした子を持つ親の無理解によることが多いのです。
こういう例があります。「中学校1年のときに文はほとんどつくれなかったので、入級させたら3年になったときには自分の気持を毎日日記を書くようになった。」「普通学級のときはほとんど学校へ行かなかったが、特殊学級へ入ったら友だちもでき、休まずに通学するようになった。」
心身障害児対策は、早期発見早期教育が必要です。ところが、現実には親が気づかなかったり、世間態を気にしたりしてなかなか実行されていません。
不幸にして何らかの障害をもった子どもたちを1日も早く社会に復帰できるように、みんなが心身障害児教育に対して理解を深めていただきたいものです。