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【広報ふじ昭和45年】工場排水の実態は

田子の浦港のヘドロは硫化水素ガスの発生や悪臭の発生源として大きな社会問題となっています。この問題の解決にあたり国、県、市、企業が一体となって取り組んでいます。そこで、田子の浦港の現況をはじめ、工場排水の調査結果、10月1日に水質保全法で指定された水城の今後の水質基準などをお知らせします。

市内の汚水量は1日に200万トン

 生活していくうえになくてはならないのが水。わたしたちの町は、富士山ろくの豊富な“地下水”とともに発展してきました。とくに地場産業の製紙業は、豊富な地下水によって全国一の紙の都といわれるまでに成長しました。
 現在市内の家庭や工場、事業所などで使う水の量は、1日に約200万トンと推定され、川などに流されています。
 200万トンの汚水は、大部分が製紙工場から排出されるもので、汚水といっしょに、製紙原料に含まれている繊維800トンも流されています。田子の浦港にはすでに繊維、土砂などが100万トン堆積しているといわれています。港に堆積した繊維などが腐敗すると“ヘドロ”になり、各種の有毒ガスと悪臭の発生源になります。特に硫化水素ガスは人の健康に悪影響をおよぼします。
 しかし、この繊維は、回収することによって製紙原料として十分活用でき、二次製品としても有効な利用価値があります。このため各企業ではこの繊維を活用する研究が進められています。
 このように多量な繊維分を含んだ排水が、水田に入ると稲の発育にも支障をきたすので、水田に流れこむのを防ぐため専用排水路で直接海中へ放流することを計画しました。この専用排水路が昭和26年に着工した岳南排水路です。
 ところが、この工事も多くの問題がでてきたため、海中へ直接放流する方法は再検討を行なっています。このため200万トンの汚水は、大部分が田子の浦港に流れこんでいます。

沼川、潤井川などの浮遊物質が減少

 沼川、潤井川、岳南排水脇排出口など田子の浦港へ流れこんでいる汚水の水質調査を10月7日に行ないました。
 7月に調査したときには、工場の総排水量は207万トンでしたが、10月は189万トンで排水量が減少しています。また、浮遊物質も約21パーセント減少しています。
 この現象は、各工場が操短や汚水処理対策を進めていることの現われでこれからも各企業の汚水処理対策がよりすすむので効果が期待されます。

■潤井川(カッコ内は7月の調査結果)
 全水量は199万トン(147万トン)で、浮遊物質は60PPm(107PPm)。
■和田川
 全水量は20万トン(63万トン)で、浮遊物質は247PPm(361PPm)。
■沼川 全水量は118万トン(86万トン)で、浮遊物質は40PPm(605PPm)。
■岳南排水路排出口
 全水量は148万トン(44万トン)で、浮遊物質は342PPm(568PPm)。
*全水量とは、工場排水や雨水、河川水などです。

=豆知識=
浮遊物質(SS)水中に浮んでいる水に溶けない物質で、地表から流れ出した土砂や有機質、産業排水中の浮遊物などで、これが蓄積し腐敗したものがヘドロです。
- 図表あり -
( 図表説明 ) 田子の浦港水系図
- 写真あり -
( 写真説明 ) 河川の汚染を調査する公害課職員

きびしくなった規制

水質保全法の指定地域に

 水質保全法で田子の浦港と、田子の浦港に流れこんでいる沼川や潤井川などの河川が10月1日から水域指定を受けました。したがって田子の浦港水系図(左図)の斜線を除いた部分に汚水を流している工場、事業場に水質基準が適用されます。
 水質基準は下の図と次の基準値であらわされ、特定施設を持った工場などの排水が規制されます。
 基準値は、シアン、有機リン、鉛の含有量が1ミリグラム、カドミウム含有量0.1ミリグラム、クロム(6価)、ヒ素の含有量が0.5ミリグラム、アルキル水銀・総水銀は検出されないことと定められています。
 この水質基準が工場、事業場などの排水などで守られているかどうかの取締りは、現在排水の種類に応じて所管が違いますが、11月1日から県知事が代行することになります。
 また、特産施設も排水の種類によって異なりますが、40業種に分けられています。なかでも市内の工場や事業場などに関係の深いものは次のとおりです。
・パルプ、紙または紙加工品製造業に使われる施設で,温式皮むき機、砕木機、蒸留がま、漂白施設、抄紙施設など。
・医薬品製造業に使われる施設で、抗菌性物質製造施設の醗酵施設、動物性分抽出施設、合成施設。
・鉄鋼業に使用される施設で、洗炭施設、コークス炉ガスからタールおよびガス液を分離する施設、排ガス冷却洗浄施設、電気メソキ施設など。
・金属製品製造業に使われる施設で、酸またはアルカリによる洗浄施設、化成皮膜施設など。
 なお、10月1日告示の水質基準は、田子の浦港水域で、上掘、中堀、下掘は規制を受けません、しかし駿河湾が指定水域になると、この河川の工場排水も同じように規制を受けます。また、岳南排水路は都市下水路の水質基準が適用されます。
- 図表あり -
( 図表説明 ) 工場または事業場から排出される水の水質基準
添付ファイル
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