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【広報ふじ昭和45年】渡辺市長がのべた45年度の施政方針

あらゆる面で調和のとれた明るい社会の建設を

 私は、市政執行を「市民の健康と、生活と、環境を守り、明るい都市づくり」を基本目標に、住みよい富士市建設をすすめてまいります。
 世界の奇跡とまでいわれるわが国の高度経済成長は、都市化をうながし、その結果、住宅難、交通マヒ、公害問題、さらには住民意識に急数な変化をおよぼしています。
 産業の振興にともない経済活動が活発化し、市民がこの恩恵を受けることは当然です。しかし、市民生活に不安、不幸があってはなりません。産業、経済、行政、社会のあらゆる面で調和のとれた、明るい社会の建設こそ私に課せられた責務であると考えます。
 この目標を達成するために、市民が市政の主人公であることを念頭に、18万市民の智恵と力を結集し、議会を通じ行政に反映させていきます。
 昭和45年度の地方財政は、国の景気刺激警戒施策の影響をうけ、歳入面では国税や住民税の減税による税収の伸びなやみ.歳出面では義務的経費の増加、住民からの行政需要の多様化など、財政運営はきわめてきびしいものがあります。
 私は予算編成にあたっては、新市建設5か年計画を尊重し、経済の動向と国の予算が地方財政におよぼす影響を考え、消費的経費の節減をはかり、財政の健全性を配慮しつつ、重点主義に徹した予算編成をしました。こんごは第2次総合開発計画策定にあわせ、長期財政計画を慎重にたてていきます。
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公害対策・都市開発など7項目を重点的に推進

 市政執行の柱である「市民の健康と生活環境を守り、明るい都市づくり」をすすめるため、具体的につぎのように施策をたてました。

第1は積極的な公害対策

 前年度に引き続き大気汚染防止対策を重点にすすめます。すでに大手企業と国の基準を上回る公害防止協定を結び、使用重油のイオウ分の低減、高煙突化、集じん装置の設置などの対策をすすめています。本年度はさらにその範囲をひろげ昭和47年を目標とする、亜硫酸ガスの新環境基準を達成します。
 中小企業の公害防止対策を推進するため、公害防止施設資金のあっせん、融資制度の充実をはかります。
 さいきん、都市公害として問題視されている自動車排気ガス対策として、一酸化炭素自動測定装置を購入します。
 このほか、市民の健康および農作物に対する影響調査は前年と同じように専門機関に委託して究明します。新年度はとくに汚染地域の住民健康調査を行ない、予防と療養対策を関係機関の協力を得て実施します。
 畜産公害については、当面は適地への集合化を、積極的に指導していきます。


第2は道路および都市開発の推進

 新庁舎が名実ともに18万市民の中心的施設としての機能が発揮できるよう、臨港富士線、弥生線などの道路整備をすすめるとともに、富士インター、国道1号線と139号線、田子の浦港とが結べるようにすることが必要と考えます。
 当市は、立地条件などから都市化の進行が著しく、都市機能の充実にせまられています。なかでも、市街地開発を中心とした拠点としての核づくりは、生活と生産が調和されるため基本的課題です。とくに依田原新田地区、富士中部地区は当市の中央部ですから、新しい都心づくりが必要です。また、市街地再開発の観点から富士駅周辺都市改造事実を早期完成させ、商業核づくりを行なっていきます。


第3は児童と老齢者福祉対策の強化

 都市化の進展、自動車の普及、核家族化の進行、婦人の職場への進出など生活環境が大きく変化しています。こうした変化は、必然的に児童にも影響をあたえ健全育成のうえでさまざまな支障をもたらしています。
 児童を健全育成するため、市立保育園を岩本と伝法に新設するほか、遊び場を5か所新設します。在宅重度心身障害児や交通遺児に対する福祉手当も増額しました。
 老齢者の福祉対策としては、豊かな人生経験と技術を活用していただき、職業のあっせん、生活相談などを行ない、精神的援護を主体にした施策をすすめていきます。


第4は学校ならびに社会教育施設の整備充実

 新年度は、富士第二小、元吉原小、大淵第一小、広見小の新改築、田子浦小屋内運動場の新築を行ないます。中学校関係は、元吉原中、岩松中、吉原第一中の改築、富士南中給食室の新築を行ないます。
 社会教育の充実をはかるため公民館の整備をすすめます。支所の廃止にともない、大淵、原田、吉永、須津、元吉原に公民館を設けます。


第5は環境衛生施設の整備充実

 衛生的で能率的なゴミ収集を行なうため、紙袋による定時分別収集を実施しています。今年度はゴミの排出量が日量で150トンに達すると予想されます。現在のゴミ処理能力が限界に達しているので第1清掃作業所に30トンの焼却能力のある新鋭炉を新設します。


第6は住宅行政の推進

 流入人口の増加、核家族化による世等分離などを考えると、これからは、より大量の住宅を供給する必要が予測されます。新年度は低所得者や勤労者の住宅を確保するため、市営住宅104戸を建設します。


第7は市民の健康増進と体育施設の整備

 健康で活発な市民の育成をはかる総合運動場の測量委託費を計上しました。また、地域の社会体育の場として学校施設の開放なども検討していきます。
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市民に愛され親しまれる市役所づくりに全力

 次に、当面の市政上の重要課題について所信を申し上げます。

まず第1は富士川火力発電所に関する問題です。

 昭和43年3月に東京電力から市および市議会に対し、建設の協力申し入れがありました。そして、昨年7月に市議会の全員協議会で、特別委員長の報告を了承して、市としての意向を定め、県の調整にゆだねていることは承知しています。
 この問題が県東部地域の電源開発である以上、当然県政の立場で処理すべき問題だと考えます。したがって、今後は県との連絡調整を十分とり、基本的には市民生活優先の原則にたって対処してまいります。
 当面は、既存の公害対策に全力を傾注してまいります。そして、広く世界の石油燃料事情の推移、あるいは日進月歩で進展する排煙脱硫を中心とした技術開発の動向を見守り、慎重に対処してまいります。


第2は新庁舎への移行にともなう行政執行体制の確立です。

 新庁舎の建設は、市民の融和一体化の確立、市民サービスの徹底、行政事務能率の向上、分散事務体制の解消などから急務とされていましたが、ようやく4月1日開庁。支所と事務所跡は、地域の公民館や小公園などに整備をしていきます。
 新庁舎の事務体制については、市民を主体にした機能配置をとり、「市民のために働く庁舎」「市民に愛され親しまれる市役所」をつくっていきます。


第3は第2次総合開発計画の策定に関する問題です。

 当市の経済も順調な成長を続け、文字どおり県東部の中核都市として、さらには東海道メガロポリス形成時の拠点都市として、将来の発展はめざましいものがあると予想されます。反面、技術革新の飛躍的発展や都市化の進行、生活意識の変革、産業の高度化や多様化、国際化時代への移行など、当市をとりまく諸環境は大きく変化すると思われます。
 こうしたなかで、都市の基本的条件である「安全」「健康」「能率」「快適」な都市像を実現するためには、市民みなさんのご理解、ご協力がぜひとも必要です。
 以上、当面する重要課題についてその概要を申し上げました。昭和45年度が1970年代への飛躍、発展の年となるよう、職員とともに真剣に対処してまいりますので、格段のご協力をお願いします。
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( 写真説明 ) 新庁舎の配置は市民を主体に行いました
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