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【広報ふじ昭和45年】亜硫酸ガスの排出基準が改正

 大気汚染防止法に基づく「亜硫酸ガスの一般排出基準」の改正が、昨年12月25日に告示されましたが、2月1日から施行されました。この改正は昭和43年12月に大気汚染防止法が施行されてから最初のもので、さきにきめた環境基準を期限内に達成するため新基準を設けたものです。

最大着地濃度0.024PPmに

 一般排出基準の制定は、各煙突から排出される亜硫酸ガスの着地濃度を地域ごとに規制するものです。
 いままでは、全国の汚染地域29地区を指定し、汚染の程度によってA地域、B地域、C地域の3段階に区分しました。亜硫酸ガスは最大着地濃度をそれぞれ、0.035PPm、0.045PPm、0.050PPmに規制しました。
 しかし、この排水基準は施行されたときから自治体の担当者や専門家のあいだで「あますぎる」という批判が強く、汚染のひどい都市では実態より後退するところもありました。富士市もB地域(0.045PPm)に指定されましたが、市独自の指導基準を設け、最大着地濃度を0.020PPm以下にするように指導してきました。
 こうしたことから、厚生省と通産省は金指産地域の汚染状況調査資料を検討して、このほど改正を行なうことになったものです。
 新基準によると、指定地域も35地域にふやし、これを汚染状況などによって8段階にわけてあります。最大着地濃度も0.020PPmから0.045PPmの8段階にわけて規制されています。これはいままでの0.035PPmから0.050PPmよりかなりきびしく、一番ゆるい8段階目でも旧基準のB地域と同じになっています。
 富士市は新基準で3段階目に指定され、最大着地濃度は0.024PPmに規制されました。
 なお、この基準も当面2年間の適用を目的としたもので、厚生省、通産省は46年と48年にも改正を予定しています。
 市公害課と県公害課は、昨年10月に187事業所のばい煙発生施設335施設の総点検を行ないました。
 これによると、旧基準の0.045PPmよって検討したところ、大手26工場の42煙源のうち不適合施設40.5パーセントあり,中小工場を含めた159煙源についても23.9パーセントの不適合施設がありました。煙突の調査は大小224本を対象に行いましたが、このうち129本は20メートル未満の低煙突で10メートル未満の煙突も37本あり、平均すると22メートルでした。
 こうした実態から市は現在の汚染を防止するため、地上着地濃度を0.020PPm以下という指導基準を設け、企業の協力を得て行政指導を行なってきました。この市の指導基準に適合しない施設は全体の50.4パーセント、今度の新基準に適合しない施設は44.5パーセントもあり、他都市にくらべ驚くほどの公立の不適合施設があることがわかりました。これらの不適施設を新基準に適合するように改善することによって、現在の汚染が30パーセントくらい減少できる見込みです。
- 図表あり -
( 図表説明 ) 改定された亜硫酸ガスの排出基準と指定された地域
- 写真あり -
( 写真説明 ) 市内には20メートル以下の煙突が129本もあります。煙突などの施設改善をすれば大気汚染は大幅に減少します。

豆知識

■着地濃度−煙突の高さ、煙の排出速度、煙の吹まあがる高さ、などで計算し、煙突1本あたりの排煙が最悪の条件で地上に落ちたときの濃度。

■大手26工場−市内の重油消費量の89パーセントを占める企業で、1日に重油を12〜15キロリットル以上を使用し、排水するイオウ酸化物も毎時10N立方メートル以上の企業。

■PPM−1立方メートルの大気中に亜硫酸ガスが1立方センチメートル含まれている状態で100万分の1。100万円のうち1円と同じ。

イオウ酸化物

全体に昨年よりやや少くなる
…44年10月〜12月までの測定結果…

 昭和44年10月から12月までの3か月間の、自動記録計によるとイオウ酸化物の測定結果が市公害課から発表されました。
 測定結果によると、富士事務所0.048PPm(43年同期0.054PPm)、鷹岡事務所0.046PPm(同0.055PPm)、富士保健所0.070PPm(同0.075PPm)元吉原中学0.089PPm(同0.103PPm)の4測点で汚染が減少しています。
 しかし、吉原第三中学0.067PPm(43年同期0.056PPm)、勤労青少年会館0.044PPm(同0.042PPm)、大淵中学0.036PPm(同0.034PPm)の3測点はふえています。
 現在市内の重油使用量は日量2,700トンと、43年にくらべ約400トン多くなっていますが、全体に汚染が減少しているのは、企業が低イオウ重油を使用しはじめた効果と思われます。なお、警報や注意報をだす緊急時は、43年10月から12月までに4回ありましたが、昨年同期にはありませんでした。次回の発表は4月下旬の予定です。
- 図表あり -
( 図表説明 ) イオウ酸化物等濃度図
( 図表説明 ) イオウ酸化物の測定結果
( 図表説明 ) 月別1時間値平均対比
添付ファイル
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