さいきん、家畜や食肉を通じて人間も“トキソプラズマ症”にかかるおそれがあると問題になっています。
トキソプラズマの病原虫は、細菌よりやや大きく、いぬ、ねこ、ぶた、うし、ねずみ、やぎなど、わたくしたちの身近かにいるあらゆる動物がもっています。
この病原虫が人間にうつる経路は、病原虫をもっている動物の内臓や肉をなまのまま食べたり、排せつ物の飛まつを吸いこんだり、傷口から体内に入ってきます。
トキソプラズマ症の特徴は、病原虫が体内に入ると、すぐ体中にまわることです。とくに脳へ行くとこどもは精神薄弱小児症なの脳障害をおこし、先天性トキソプラズマ症のこどもは約12パーセントが死亡します。
しかし、病原虫が体内に入ると必ずトキソプラズマ症にかかるわけではありません。おとなはもちろん、こどもでも満1歳をすぎればこの病気に対する抵抗力が強くなり、それほど心配することもないようです。
もっとも恐ろしいのは先天性の場合です。妊娠中の婦人がこれにかかり、胎児に病原虫が移っていく場合です。胎児に感染すると、感染の度合が強い場合は流産か死産し、無事に生れても新生児期から生後4か月の間に貧血、けいれん、脳炎などの症状をおこしています。
トキソプラズマ症を防ぐには、妊娠中は病気のいぬやねこなど家畜に近づかないことがなにより大切です。とくに農家では、妊婦にぶたやうしの世話をさせないように家族の協力が必要です。
また、食肉を調理する場合はよく加熱することが大切です。なお、妊婦が調理する場合は、生肉にさわった手は必ず良く洗うように注意してください。
なにはともあれ、成人の約20パーセントはすでに免疫をもっているといわれていますので、むやみに恐れる必要はありません。
しかし、万一に備えみんながトキソプラズマ症に対する認識を高め、感染しないように注意してください。
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( 写真説明 ) トキソプラズマはいぬやねこからうつります。妊娠中の婦人はとくに気をつけてください