完成は46年度の予定
岳南工業地帯には現在約1,400の事業所があります。このうち紙・パルプ工場は10パーセントの150工場あります。しかし、製紙工業の進展には必然的に大量の水が必要になり、日量150トンの水を使用しています。この用水のほとんどが汚水となって河川に排出されていました。
そこで工場汚水排水路の建設が強く訴えられ、昭和26年から岳南排水路の建設の前期事業がはじめられ、現在約26,000メートルの排水路が完成しています。
この排水路を利用している工場は123工場。100万トン余の汚水が流されています。ところが、この汚水が田子の浦港に沈澱し、硫化水素が発生して附近一帯に被害がでました。そこで昭和42年から5か年計画で駿河湾に海中放流する後期事業がはじめられました。この後期事業が完成すれは日量240万トンの汚水が処理できるようになります。
現在、岳南排水路は1号から3号まで完成しており、4号と5号幹線排水路を建設しています。
1号排水路は富士宮市貴船から市内依田橋までの15.341メートルで70工場が利用しています。
2号排水路は今泉・原田地区から依田橋までの3,719メートルで36工場が利用しています。
3号排水路は原田地区から依田橋までの4,831メートルで17工場が利用しています。
4号排水路は元吉原から田子の浦港までの1,153メートル、5号排水路は前田から田子の浦港までの1,648メートルです。幹線排水路は田子浦港から砂山をとおり海中放流されるもので延長は2,652メートルです。
工事は昭和46年の完成を目指し急ピッチですすめられています。この事業が完成すると排水管の総延長は32,000メートルになります。前期後期を合くめた総事業費は約39億円です。この工事が完成すれば、日本一の工場汚水専用排水路になり、汚水問題は一応解決すると思われます。
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( 写真説明 ) 海中放流する幹線排水路の工事現場=田子の浦港付近