【広報ふじ昭和44年】東電に要望書提示
使用燃料や公害防災の20項目
市民のみなさんも、すでにご存知のように、富士市は昨年3月22日、東京電力から「富士川火力発電所建設」の申入れをされています。
それから9か月間、富士市は、当局ならびに議会が、申入れ事項をあらゆる角度から調査、研究をしてきました。この調査結果をもとに、このほど東京電力に対して、燃料計画や公害防災計画など、20項目の「富士川火力発電所建設計画に関する要望書」を提示しました。
なお、要望書の内容は次のとおりです。
1、発電所の運転開始予定
運転の開始を1号機昭和47年度(計画昭和46年)2号機48年(47年)3号機51年(50年)に計画を変更すること。
2、出力計画
出力計画の1号機、2号機、3号機とも各35万キロワット、計105万キロワットの発電についてはこれを限度として了承する。
東京電力は、富士市の電力需要に対して、いかなる需給情勢の変化があっても供給を確保すること。
3、用地計画
1.所要面積72万平方メートル(21万8,000坪)は重油火力の標準用地のほか、火力単独立地および環境保全上の特殊事情による増分用地を合わせて必要とする根拠にもとづいて了承する。
2.用地範囲の決定は、市、土地所有者、東京電力の3者間で、原案を基準として十分検討して決定する。
3.都市計画街路の富士駅南口・田子の浦線および、田子の浦鷹岡線の国道1号線バイパス以南と、両線を結ぶ市道は東京電力が街路築造(舗装含む)を行ない、完成してから市に無償で譲渡する。
4.用地の東側と北側は相当の部分を緑地帯または芝地とする。その面積は別に市と協議する。発電所完成後はできるかぎり近くの住民のいこいの場所として考慮すること。
4、施設配置計画
構内の諸施設は、別項の公害および防災対策を十分配慮し、法定以上の距離をとって配置すること。とくに三四軒屋、靖国に対する騒音、振動の排除はもとより、住民の不安感を除くため十分対処すること。
5、用水計画(淡水)
1.ボイラーなどに使う淡水日量5,000トンの利用方法については市の指示に従うこと。
2.生活用水日量30トンは、市営上水道の使用を了承する。ただし必要水源が確保された場合に限る。
3.工事用水日量400トンは、浅井戸で揚水するときは「岳南地域地下水利用協議会」の指示をうけること。
6、燃料輸送計画
田子の浦港が利用できない場合は冷却水の取水計画を拡大し、専用港を新設することが考えられる。この場合、国および県の関係各省と協議し、十分な検討実験を行ない、災害が絶対に起きないようにする。なお、この計画を実施する場合は市に計画案を提出し、了承を得たあとでなければ着工しない。計画の実施によって損害を与えたときは適正な補償を行なうこと。
7、送電計画
154kVの送電線は、富士川堤外地を利用するように計画すること。これが不可能の場合は、農耕地、住宅地はできるだけさけ、地域開発に影響のないように注意する。66kVの送電線経路についても同じ。具体的な送電経路は、市および関係者の意向をよく聞き決定する。
8、取水(冷却水)施設および排水施設計画
取水施設計画は、「6燃料輸送計画」の各項と同じ措置をする。
排水施設計画は、富士川の特性を十分に検討し、災害の防除に万全をつくすこと。実施の前に計画書を出し、市の了承を得てから着工すること。
9、用地取得
用地取得は、東京電力が自主的に交渉を行う。離農にともなう代替地のあっ旋、家屋や物件の移転、補償は誠意をもって行うこと。用地内の水路敷など国有財産の処理、用水路や排水路の新設、付替えなどは県、市の指示に従うこと。
10、石油精製産業との関連
石油化学コンビナートおよび石油精製単独工場などの本地区への立地は、富士川火力計画とは何の関連もなく、また将来もいかなる社会経済事情の変化があっても立地しないことを確認すること。
11、燃料計画
1.富士川火力の燃料計画は、165万キロワット稼動時には重油使用量は日量4,000キロリットルでイオウ含有率1.5パーセントとなっているが富士市の大気汚染の現況、運転開始時における燃料事情の推移などから、イオウ分1.5パーセントは了承できない。したがって、燃料計画を再検討して、「発電所運転開始予定」に合わせ、低イオウ重油使用計画を提示すること。
2.東京電力は、市と合意に達した低イオウ重油を責任をもって確保し、事情の許す限り重油の低イオウ化につととめること。
3.大気汚染の状況、農作物への影響などの、緊急時に使用するための備蓄重油はイオウ含有率0.5パーセント以下の超低イオウ重油とし、備蓄量は5日分とすること。
12、排煙処理対策
1.排煙の拡散効果を高めるため、煙突は3かん集合型とし、高さ200メートル以上とすること。
2.排煙温度は150度、排出速度は毎秒30メートル以上とし、十分な拡散稀釈をはかること。
3.排煙に適量のアンモニアガスを注入して、無水硫酸の中和をはかり、すすの発生を防止するとともに、電気集じん機を設置して、ばいじんの発生を防ぐこと。
4.今後、新技術が開発され、実用化の段階にはいったときはこれを採用すること。
13、排水処理対策
1.排水による温度の上昇については、水そく生物への影響を排水拡散模型実験などの調査を行ない、漁業に与える諸問題を誠意をもって解決すること。
2.機械類の洗浄排水などに対し、中和沈澱ろ過槽および油分離槽を設置して、清浄水以外は構外に出さないこと。
3.冷却用海水に発生するバクテリアなどの防止策として注入する塩素量は、放水口で塩素量が検出されない程度にする。
14、騒音対策
1.騒音防止に必要な距離を十分とって配置すること。
2.騒音発生源となる屋外機器類については、十分な消音施設をつけること。
3.騒音の基準は「騒音親制法」の基準以下にすること。
15、電波障害対策
送電線の布設に伴うコロナ放電、二重映像障害、通信障害などの発生防止に留意すること。
16、構内防災対策
1.貯油タンクなど危険物の火災、爆発に対する安全対策は、消防法の基準以上にすること。
2.構内に布設される配管、弁類に溶接構造とし、漏油防止をはかるとともに、油探知装置も設けること。
3.構内の主要施設の耐震構造に十分配慮をして、火災爆発対策に万全を期すこと。
17、燃料輸送防災対策
1.専用タンカーに、通常の消火装置のほか、蒸気消火装置、炭酸ガス消火装置など十分な設備をすること。
2.揚油設備については、最新設備を設けて、漏油防止をするとともに、海域の汚染防止にもつとめること。
3.専用タンカーの構造、設備は、運輸省海上保安庁の示す基準以上にすること。
18、公害、防災対策監視機関の設置
1.市は「富士川火力公害防災対策委員会を設置する。
2.委員会の委員は市長が任命、委嘱し、重要事項を審議し、必要な事項は市長に意見書を提出する。
3.委員会は、調査のため東京電力の業務に支障のない限り、各施設の立ち入り調査をすることができる。
4.東京電力は、市長が委員会の意見にもとづいて行なう勧告は、これを尊重しなければならない。
5.東京電力は、委員会が必要と認めた事項についての報告、資料の提出をする。
19、公害防止対策への協力
東京電力は、市の行なう産業公害防止行政に対し、積極的に協力すること。
20、協定書の作定
この要望事項について、市と東京電力が協議した結果、合意に達したときはこれを確認するため、協定書を作成する。
添付ファイル
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