原田妙善寺の観音堂には千手観音(せんじゅかんのん)の木像が安置されています。
妙善寺は2月18日の祭日に行なわれる草競馬、小栗判官満重と照手姫の伝説などで有名ですが、千手観音が安置されているということは、あまり知られていません。
この像は、等身大の座像で、お堂の正面に黒漆塗りの厨子(ずし)の中に安置され、左右に広目天、多聞天と十二神将を従える形で祀られています。作られたのは鎌倉時代のものと推定されていますが、木質の上に布を貼りつけ漆塗りにした立派なものです。
法華経の普門品の中に、観世音菩薩は33に姿をかえ、信仰者のあらゆる困難を除いてくれると説いています。普通は観音様と呼ばれ、多くの仏や菩薩の中で一番人々に親しまれ信仰されています。
妙善寺の千手観音は十一面千手観音で、中央の真手2本を除いて40本の手があります。掌(てのひら)にはそれぞれ一眼をそなえているので千眼になります。“千”の手と眼であらゆる形に化身して、慈悲の手をさしのべるということです。
観音は聖観音など各種の観音にわかれていますが,いずれも衆生を済度(さいど)することに変わりはありません。
(鈴木富男稿)
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