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【広報ふじ昭和43年】仏像をたずねて

仁王像
 実相寺の山門に一対の仁王像が安置されています。この仁王像は鎌倉時代の作だと伝えられている木像で、高さ2.6メートルもある立派なものです。
 昨年の夏、大修理を行ないましたが 仁王本来の壮厳な姿や、悪魔調伏の形相がなくなってしまったことは残念なことだと思います。なお、修理のとき後頭部から、平仮名で御題目400回書き、表紙に「奉書題目四百返為者之敬白 明暦四月ニ月 女十ニ歳」と書いた文書が発見されました。これは京都の12歳になる少女が祈願のため、仏像の中に納めたものだと思われます。仁王は、帝釈天(たいしゃくでん)がもっている、慈悲相と威力相の2面のうち、威力相を現すため2分身となって仏法を護持し、寺の正面の山門で一山を守護する形に置かれています。
 裸形の念怒形(ふんぬぎょう)で、左の仁王は口を開いて阿(あ)を現わし、右は口を閉じてうん(うん)を現わしています。阿は物の最初を、うんは物の終結を示すものだといいます。
 実相寺は久安年間(1145〜49)に、僧智印が開設した天台宗の寺院です。
 当時は七堂伽藍(しちどうがらん)49院、500の僧坊がいらかを並べていたといわれています。
 のちに日蓮宗に改宗し、鎌倉時代のはじめに日蓮正人が、この寺で「立正安国論」を起草した話は、あまりにも有名です。
 (鈴木富男稿)
- 写真あり -
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