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【広報ふじ昭和42年】新年度の施政方針 太陽と緑と空間のある豊かな産業都市を

3月定例市議会で斉藤滋与史富士市長は、市長としての政治姿勢と昭和42年度の施政方針を次のようにのべました。

明朗清潔モットーに道路整備など五大政策を推進

1.道路、交通行政の積極的な推進
2.都市環境整備事業の促進
3.文教施設の整備充実
4.農業、中小企業振興対策の確立
5.住宅行政の推進

政治姿勢

 3月定例市議会にあたり、新年度予算案を初めとして83議案提出いたしましたが、諸議案の審議に先だち、昭和42年度予算の編成方針を中心にその大要を申し上げ、合わせて施政の一端を申しのべたいと存じます。
 かえりみますれば昭和36年以来、旧2市1町の間で台頭した岳南広域都市建設の夢は、幾多の曲折を経ながらも、市議会議員各位の賢明なご判断と、16万5,000市民の深い理解と協力により昨年11月1日新市の発足をみたのであります。
 さらに同年12月1日私は、議員諸賢ならびに市民各位の温いご支援により、初代市長に当選させていただき、微力ながら、新生富士市の市政を担当いたすことに相成りましたことは、誠に光栄の至りでありまして、改めて深く感謝するとともに、本定例市議会に提出いたしました予算案等は実質的に新富士市の第一年度であり、特に意義深いものとして、その責任の重大さを痛感いたしている次第であります。
 従いまして、私はこの際市長として、新市発展のため、全力を尽して市民におこたえする政治姿勢の基本的な考え方を申し上げ、議員諸賢のご協力をお願いいたしたいと存ずるものであります。
 私は、選挙を通じても申し上げましたが、市政を執行するにあたり「明朗、清潔」をモットーとして“太陽と緑と空間のある豊かな田園産業都市”を造りあげることを信条といたしております。
 市民総親和の中での明るい市政、市政にたづさわるすべての人が清潔に己を持すことを精神的な支柱とし、新市の指向する新都市建設のビジョンは、豊かで住みよい、しかも永遠に飛躍発展する都市づくりと、すべての施策が住民福祉につながる近代的な産業都市を建設することであります。
 私は市政のあらゆる面をこの一点に結び、勇気と決断をもって、あらん限りの努力を傾注してまいりたい所存であります。
 もとより、民主政治は議員諸賢はもちろん、市民多数のご意見、ご理解協力の上に成りたつものでありまして、その民主的市政を通じて、県下屈指の近代的な田園産業都市へ躍進することをこい願うものであります。

国の予算と地方自治体への影響
 さて、各位もご案内のとおり、政府は41年度において7,300億円の国債発行と、平年度で3,000億円の減税措置を講じて、かってない積極的な財政政策の展開をはかり、鈍化の傾向にあった日本経済の景気にその刺激策を図ったのでありますが、42年度も引続き8,200億円の国債発行と5,000億円の政府保証債の発行に踏み切ったのでありまして、その景気刺激策は,当然地方財政の方向に大きく響くものであると考えます。
 即ち、国の新年度予算は、地方公共団体にとって、財政的にあるいは時期的に可能の如何にかかわらず、公共事業の増加による財政負担の増や、公共料金,消費経済の上昇に関連する義務的経費の増大となって表われ、前年に引続きその財政運営は,容易ならざるものと覚悟しなければならない状況下にあるのであります。
 このような背景にたって、新市の42年度予算の編成にあたり、私は合併後の初年度という観点から思い切った大型予算を編成いたしたのであります。その理由は、すでに住民の前に公約した新都市建設計画を、できる限り尊重してまいりたい一念にほかならないからであります。
 しかしながら、東駿河湾西地区の中心都市として、望ましい新市建設の新たな事業を起し、さらに建設計画に盛られた継続事業等の100%実施を求め、なお人件費、物件費等々、義務的経費の余儀ない増嵩に対処するならば、単的に申し上げて市財政は破たんの運命をたどることは歴然たる事実であります。この苦難を切り拓き、市民の期待に応えんとして、数次にわたる査定の末、ようやくにして本予算の編成をおえたのでありまして私初め、当局の苦哀を何卒ご賢察賜りたいと存ずるのであります。

54億円の大型予算編成
 それでは、一般会計初め各特別会計の予算の大要について申し上げます。
 まづ、予算編成の基本といたしましては、合併の基本方針を尊重し、前段申し上げました政治姿勢にもとづき、住民の融和をはかり、住民福祉の増進のため、社会開発、経済開発の諸施策を積極的に推進いたすことをその骨子といたしております。
 一般会計における予算の総額は、37億7,260万円でありまして、合併前に旧2市1町で編成された昭和41年度の当初予算額は、3億1,416万円で、その対比は実に21.14%の増と相成っており、本予算が如何に積極大型予算であるかをご理解いただきたいと存じます。
 さらに、国民健康保険事業ほか、17件の特別会計の総額は8億3,831万2,000円、水道事業、病院事業の企業会計の総額は、7億9,497万6,000円でございまして、一般会計、特別会計、企業会計の総予算額は、実に54億600万円という巨額となり、これに加えて、本年度以降債務負担行為により実施することとし、直接事業予算を計上いたしておりませんが、先にご了承をいただいて発足いたしております財団法人富士市開発公社の事業費等を考慮するならば、概算予算規模は60億円と相成るものであります。
 さて、これらの予算を通じ、私といたしましては、新年度の重点施策として、次の五点をとりあげてまいりたいと考えております。 第一点は道路交通行政の積極的な推進、第二点は都市環境の整備事業の促進、第三点は文教施設の整備充実、第四点は農業および中小企業の振興対策の確立、第五点は住宅行政の堆進、の五点であります。

道路交通に3億6,000万円
 まづ第一点の道路交通行政でございますが、都市形態の整備の上からも住民の生活環境の整備の上からも、当面最も重要視しなければならないことは道路交通行政であろうかと存じます。このため私は重点事業の第一として、これを取り上げたのでありまして、これに充当する予算の総額は3億6,474万円を計上いたしております。この中でも、特に道路の改良舗装および幹線、都市計画街路の築造整備に配慮し、この面に3億3,722万9,000円を投じております。計画路線は、国の事業認承の見込み等を勘案いたしておりますが、特に新庁舎建設と合せ臨港富士線および富士吉原線などに重点的な措置をいたしております。道路舗装につきましては、今回の予算計上額で決して満足すべきではなく、今後、財政状況とにらみ合わせ、なお積極的に対処する考えであります。また富士地区の加島踏切地下道設置につきましては、1,000万円を計上して、早期完成をめざしておりますし、最近の市行政の中で特に力を入れてまいりたいのは、交通安全対策であります。本年は一挙に1,751万1,000円を計上し、交通安全のための諸般の対策を推進してまいる方針でありますが、この予算とは別に、国および県の予算による施設についても、当市の交通事情に即応するよう強力に働きかけてまいりたい考えであります。
 また、かねて議員各位よりご要望のありました市民交通災害対策の制度については、既に「富士市民交通傷害保険実施要綱」を定め、4月1日より発足すべく、諸般の準備を進めていることを申し上げておく次第であります。

庁舎と行政センターの用地取得
 次に、第二点の都市環境の整備事業についてでありますが、ここでは、まず第一に行政センターの整備事業をあげなければならないと存じます。今日の市政にとって最も緊急を要するものは、市庁舎の建設であることは議員各位のご高承のとおりであります。私といたしましても、この点を配慮し、議会のご協賛をいただいた開発公社をしてただいま、用地取得の交渉を続行中でございます。
 現在の分散体制の不合理性、不経済性の排除はもとより、行政事務が一日も早く一体的な処理ができ、なおかつ、市民の融和と一体観、確立の上からも、市庁舎の建設は急務でございまして用地取得と並行して、庁舎建設計画の樹立、基本調査、設計委託などを合わせ、予算としては2億2,000万円を計上いたしております。
 また、庁舎と関連する他の行政センター、あるいはビジネスセンターなどの用地は当面開発公社をして対処する方針であります。都市環境の整備事業の第二点としての事業を申し上げますならば継続事業としての、富士駅周辺等土地区画整理事業の推進のため2億2,603万7,000円を計上し、新市にふさわしい駅周辺市街地の、実現に努力してまいりたいと存じます。下水道事業は2,750万円、市民の生活用水としての上水道拡張事業のために、2億447万2,000円を、霊園整備事業に2,500万円、清掃事業に525万円をそれぞれ計上し、都市環境整備事業の総額は、実に7億825万9,000円と相成っております。なお霊園整備事業につきましては、鷹岡地区にある火葬場の立地条件、施設の内容等慎重に検討のうえ将来の新設と合わせ霊園の建設をいたしてまいりたいと考え、本年度これが準備として、まず道路整備に着手する計画であります。

小中学校の増改築に3億円
 重点施策の第三点の文教施設の整備充実について申し上げます。
 新年度これらの予算としては3億4,638万7,000円を計上いたしており、そのうち小中学校の増改築に要する経費は2億9,638万8,000円であり、さらに幼稚園の整備、特殊教育活動の充実、社会教育および体育振興にも配慮をいたしております。教育は人づくりの場であり、教育環境の整備充実は、いつも私の念頭から離れておりません。しかしながら、全体として限られた財源の枠の中で、建設計画のすべてが実施できず、一部割愛せざるを得なかったことにつきましては、私自身残念に思っているところであります。
 第四点の農業及び中小企業振興対策についてであります。農業につきましては、農家所得の向上と、経営の近代化を促進することを目標に、巾広い施策を考えたのでありますが、特に本年、重点的に取り上げましたのは土地基盤整備事業であります。これについては、土地改良事業を強力に推進する方途を講じ、直接市費負担として1億5,085万7,000円を措置いたしましたので、実質事業費は、4億5,000万円を越えるものと想定いたされるのであります。特にこの事業に関連する受益者負担等につきまして、純然たる公共性をもつものにつきましては、これを市費負担とすることに、全市統一をいたしたところに、大きな特色のあることをご理解願いたいと存じます。
 このほか、農林業の振興対策費として、1,961万9,000円を計上いたしております。中小企業の振興につきましては詳細な内容は割愛させていただきますが、体質改善と、近代化促進のための金融措置等、5,889万8,000円を計上いたしております。

吉原地区に特殊病院を
 第五点の住宅行政につきましては、国においても、逐年、積極的な施策を講じておりますが、本予算では2億4,130万6,000円を計上いたしております。このうち公営住宅については、計88戸を建設いたす計画であり、これは建設計画に比べ、戸数にして16戸、金額にして用地買収費を含め、4,015五万円の増であります。このほか住宅団地造成事業も1億1,940万円を措置いたしましたので本年度はこれらの宅地の分譲を開始してまいる予定であります。
 以上、重点施策についての内容を極く簡単に申し上げましたが、その他の政策のうち、ここでは特に配癒したものについて、引き続き申し上げたいと存じます。
 まづ工業都市としての基盤整備に関連する田子の浦港整備事業負担金、岳南排水路施設負担金等全体として、1億1,500万円を措置いたしております。
 次に、社会福祉対策につきましても、かなり積極的な姿勢を示し、老人憩いの家の運営、敬老金の支給など、老人福祉対策に3,859万4,000円を、精薄児福祉施設としての「ふじやま学園」の建設と、運営にともなう経費3,761万2,000円、本年度新たな試みとして、児童の遊び場施設整備に660万円など総額8,280万6,000円を計上いたしております。また、従来から吉原地区住民より、要望されてまいりました病院の建設につきましては、新年度より具体的な建設計画を策定してまいる方針であり、予算といたしましては、設計委託料等、1,500万円を計上いたしましたが、私としては、市立総合病院との競合をさけ、特殊病院としての構想のもとに進めてまいりたい所存であり、本件につきましては、計画の段階より、議会の各位と十分協議して、進めたいと考えております。
 次に2市1町の合併による、新市の発足を後世に永く伝え、市民の憩いの場所であり、融和の象徴ともいうべき、合併記念公園の建設を計画し、予算1,000万円を措置いたしましたが、これにつきましては、今日なお、具体的なプランは策定されておりませんので、これまた、計画・設計につきましては、議会と十分なる協議を図りつつ推進する予定であります。
 公害の問題につきましては、最近とくに市民の関心も高く、新たな行政として十分な対策を講ずるべきは勿論でありますが、予算額については、わずかとはいえ、決して等閑に付すべき性質のものではございませんので国、県の施策等と合わせ対処してまいりたい考えであります。
 消防施設の整備事業につきましては、消防自動車2台、救急自動車1台を購入し、防火水槽の新設等、合わせて1,461万2,000円を措置いたしております。ただ一点申し上げておきたいのは消防分署の増設等につきましては、新市庁舎建設などと関連し、総合的検討を要する問題でありますので、今年度は割愛いたしております。このほか青少年対策の強化、あるいは保健衛生指導の確立などにも相当額の予算を計上し、前向きの姿を現わしていることを附言いたします。

建設計画と予算対比
一般会計は計画額の 99.1%
 一般会計、特別会計および企業会計などについて、重点的施策を中心にその大要を申しあげましたが、歳出予算執行の裏付けともなる歳入につきましては、全体の58.2%を占める市税収入、あるいは、国、県支出金、地方債等すべてにわたり、財源確保については、私はじめ関係職員をして、全力をあげて対処いたす所存でございますが、何かと、議会のご協力をいただくことも多いと存じ、この点よろしくお願い申し上げる次第であります。
 最後に一般会計における、新年度予算と合併時に策定した建設計画との対比について若干ふれてみたいと存じます。
 各位と共に策定した昭和42年度の一般会計予算計画額は、38億708万6,000円であり新年度予算37億7,260万円は計画額の99.1%に当っております。
 また、投資的経費の総額についてみますと、計画額17億5,555万9,000円に対し、予算額15億5,105万4,000円で88.4%、逆に物件費は計画額の111・2%、他会計への繰出金、貸付金等を主とするその他の経費は、198.2%となっております。これらの理由についてはまず歳入のうち、特定財源として見込んだ、国県支出金の過大見積りと税外収入への期待が大きかったことが第一、歳出については、特定財源との関連において、補助対象車業の計画が著しく多額であったこと。各種の予算的措置において、旧二村一町の均衡を図り、急激な変化をさけるとともにレベルアップしての、調整を加えたことによる経常的経費の増嵩等がその主な点でございます。継続事業における、旧2市1町の事業費については、合併協議の時点における精神を尊重し54.0%、36.9%、9.1%という配分率について、多くの苦慮を重ねながら、これに従った措置をいたした点を申しあげておきたいと存ずるものであります。
 終わりに臨み、16万5,000余の全市民を代表し、一言各位に対し、お礼申しあげたいと存じます。
 議員各位には、長期にわたり、市議会議員あるいは町議会議員として在任し、昨年11月1日以降、新市議会議員として今日まで住民の選良として、常に市勢の伸展と、住民福祉のため、献身的努力を重ねられてまいりました。ここに、本定例議会を最後に来る4月30日ひとまづ、その輝かしい任期を満了せられるのであります。
 地方公共団体の政治において議会議員の果す重要な役割については、私が申しあげるまでもございません。各位は今までも幾多の治績を遺されてまいりましたが、十数年来の地域住民の念願であった岳南2市1町の大同団結を成し遂げた功績こそ、特筆大書に値するものであろうかと存じます。ここに、本席より改めて各位のご労苦に対し、深甚なる敬意と、感謝の意を表する次第であります。

一般会計 37億7260万円

歳入合計           3,772,600
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 科目別          予算額(単位 千円)
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 市税           2,196,070
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 市債            529,000
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 国庫支出金         431,042
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 諸収入           199,058
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 財産収入          148,875
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 使用料及び手数料       99,401
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 県支出金           52,617
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 地方交付税          50,000
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 その他            66,537
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歳出合計  3,772,600 
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 科目別          予算額(単位 千円)
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 土木費            854,026
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 総務費            798,611
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 教育費            715,719
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 民生費           364,262
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 衛生費           263,023
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 公債費           253,111
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 農林水産業費        227,845
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 商工費            111,019
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 消防費            97,589
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 議会費            49,453
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 その他             37,942
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- 図表あり -
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